第6話  休日 イベント出演

定期演奏会も終り、ひたすら練習に明け暮れる日が続いていたある日の事。


「イベント出演ですか?」


顧問の教師が某大手スーパーが祝日にやるイベントの出演をもってきた。既に出る手はずを整えたとまで言って。


「いきなりですね。相変わらず」


もう慣れたのか部長はため息すらつかなかった。


「おお、やってくれるか!」


「いややらない選択しないでしょ」


そうなのだ

我が吹奏楽部の特徴はとにかく実演主義。

出演できそうなイベントを総なめする勢いだった。


かくいう私もすっかりそれに慣れ切ってた。

だから休日に予定など組めないんだよね。


「それで時間はどっれくらいになりますか」


早速ノートに時間と日付を書いて演奏できそうな曲をピックアップしてゆく。


「あ、休日だから親子連れも多いですね。ディズニーメインで良いですか?」


「えーとね。多分もっと客の年齢層低くなるので、童謡もお願いできる?」

分かるんですか。


「そう。その日は隣の保育園で学芸会もあってね。多分お昼の流れでそこに集まると思うんだ」


さすが子持ち。よくわかってらっしゃる。


「それじゃあ、となりのトトロメドレーがいいと思います」


私がそう言ったら「うんうん、わかってきたね」って顔でうなずかれた。


「あとは他の人にも聞きたいけど、星に願いをは入れたいですね」


それも含めてメンバーで一度話し合ってください。そう言われて今日は解散となった。


そうはいえど、好きな曲と出来る曲は違う 楽器の編成もある 上手下手もあるし


「あまり難しく考えないで」


「楽器の紹介もするから、多くても3曲くらいだからね。」


「5分の曲だと15分。MC同じだけ入ると30分かな」


「ただあの手の会場って防音設備皆無よ。 音も変に反響するし、館内放送もあるの。あと別の演奏も流れるしw」


「思ったよりも過酷な環境ですね」


「そうね。だから通行人が足を止めて聞く程度って考えて」


「わかりました」



こうして我が吹奏楽部は再び始動するのだった。



イベント当日

「何だか人がいっぱい来てるよ何でよ」

「おかしいな。この手のイベントって父兄が5割。残りが買い物中の人って思ったんだけど」


「うわーうちのオカン来てるよ!」

「あたしもだよ」

・・これって誰かの仕業じゃないでしょうか。

父兄率ほぼ100%!どこの発表会だよ!もう

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