第13話 転落 ②
「何なんだ、この慰謝料イッセンマンエンってのは?」
突然届いた内容証明郵便。
呆然としていると、スマホに着信あり。
ノロノロと通話にタッチして、スピーカーに切り替える。
「関谷君、よくも私の顔に泥を塗ってくれたな!覚悟しておくように。」
「……………………本部長、おはようございます。何か有りましたか?」
本気で本部長を怒らせることに心当たりが無かったので、とぼけてみた。
「よくも白々しくとぼけられるな!関谷次長から先程知らせが来たぞ。砥部君の婚約者との不貞行為で訴えられているそうだな。」
父さんから、本部長に?クソ親父、余分なことを!
もう、しらを切り通すしかないな?
「何のことでしょうか?」
「……………………よく聞け、社内通達で、砥部君の主導するプロジェクトを全社を挙げてバックアップすると知らせた筈だ。君には彼のプロジェクトに対する妨害の前科がある。」
「……………………社内恋愛は、自由な筈ですが?」
「恋愛だと?白々しいっ。社内の証言はもう取ってある。今すぐ第三会議室に出頭するように。」
通話の切れた端末を叩きつけたくなる衝動に耐えて、うめき声を上げたくなるのを我慢する。
「クソッタレ、砥部の奴、生意気だぞっ?叩き潰してやるっ!」
※※※※※※※※※※
「なに、これ?慰謝料イッセンマンエンってのは?」
封筒を手に唖然としていると、スマホに母から着信あり。
通話にタッチして、スピーカーに切り替える。
「美穂っ!なんて事をしてくれたのよっ!もう、我が家は破滅よ?」
「お母さん、何を大袈裟な?」
「……………………あなた、何もわかってないのね?」
「だから、なんの事?」
「由紀さんの婚約者と不倫したと訴えられているそうじゃない!」
「……………………俊君は別れるって、」
「黙りなさいっ!良く聞きなさいっ、パパは解雇よ。深雪は内定取り消しっ。従兄弟の潤くんも内定取り消しよ。」
「……………………そんな…………家族は関係無いじゃ」
「我が家は彼女の一族に大恩が有るのっ!いつも言い聞かせてきたでしょうがっ!もう、あんた、何処かへ消えて頂戴っ?」
通話の切れたスマホを手に、画面を睨みつけていると、契約している出版社から『契約解除のお知らせ』の通知が来ていた。
「……………………由紀っ、許さないっ!私が取りたかった仕事をコネで手に入れたくせに!生意気だわっ。叩き潰してやる!」
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