第30話 迎える準備完了
リリアにネックレスをプレゼントしてから数日たち、家の増築向けて相変わらず畑作業の毎日である。今も絶賛畑作業中である。
「……ん?おお!芽出てるじゃん」
リックから購入した謎の種は何日たっても芽が出ないときいていたので何か特殊な環境がいるのかと思い試しに魔法で作った土壌で育ててみることにした。それが合っていたのか違う条件がたまたま揃っていたのか分からないが謎の種を植えたところから芽が出ていた。どんな成長をするか今後が楽しみだな。
畑で育てている作物は今では30種以上になっていて規模もかなり大きくなっている。
「一人だとこの規模になるまでどのくらいかかっていたんだろう」
ここまで広げることができたのはやはりリリアの存在が大きい。リリアの圧倒的成長スピードによって畑を広げても畑作業に必要な時間がほぼ増えないのだ。俺は午前に仕事したりするのでその時にリリアが魔法を鍛えていたとしても辻褄が合わない成長速度である。寝てないとかないよね?流石に。
そんなことを考えながら収穫できるものを探し収穫していく。
「リリア、収穫終わったから水やりお願い」
「はい、わかりました。ウォーター!」
ウォーターの魔法を唱えたリリアの手のひらの先から細かな水が大量に噴射されている。その様相はスプリンクラーのようで非常に広範囲に水を浴びせることができる。
リリアが水を撒いている間に俺は牛のリム、鶏のプリン、ステラに餌やりと畜産物の採取をする。リムたちは大きく成長し今では立派な大人になっている。
「リム、ご飯だぞ~」
「モー」
現実と違って牛を妊娠させなくても搾乳ができるので1日当たり20リットル程度搾乳している。一応搾乳量をあげる方法として妊娠は有効らしく、妊娠から出産後3カ月くらいは約2倍程度になるらしい。ニーナさんにそう聞いたのでそうなのだろう。まあ今のところ牛や鶏をこれ以上増やすつもりはないのでその手段はとれない。これ以上増やすのなら人手が欲しい。
「リム、ブラッシングするよ」
リムは牧草をモゴモゴと口を動かし食べている。そんなリムの体をブラシできれいにしていく。体が大きいのでブラッシングも一苦労である。
「よし、きれいになったな。じゃあ搾乳させてもらうよ」
搾乳は手で行っている。手で行っているためかやはりこれも時間がかなりかかる。いつか搾乳も機械でできるようになればいいな。
「よし、終わり。じゃあまたね」
俺はリムと別れ、次に鶏小屋の方へ向かう。まずは餌やりからだ。
「プリン、ステラご飯だぞ~」
「「コッコッコッコ」」
二羽とも初めは黄色くちっちゃなひよこだったのに今では赤いトサカを持ち白い羽毛に覆われた鶏になっている。鶏の世話は牛ほど手間はなく餌をあげることと卵の回収くらいだ。そのため、鶏は増やしても問題はなさそうではあるが急ぎでもないので保留中である。プリン、ステラが餌を食べている間に卵を回収し、再び畑の方に向かう。
「リリア、こっちは終わったよ。そっちはどうだい?」
「私の方も終わりました。ティータイムにしましょう」
そうしてまたいつものように家でティータイムに入る。
「リリアもすっかりこっちの生活に慣れたように見えるけど実際どう?」
「そうですねー、はじめてのことばかりで最初は大変でしたけど今ではのびのびと過ごせてます。それにここですと王女の身分がないので人目も少なくてリラックスできてます」
やはり立場がある分人目を気にして行動しなければいけないから少なくないストレスを感じていたのかもしれない。
「そっか、それはよかったよ。そういえばリリアさ、魔法のレベル上がるの早いけど何かコツでもあるの?」
「いえ、特にコツとかないと思いますよ。暇なときにひたすら魔法を使ってるだけなので」
うーん、これが才能ってものなのかもしれないね。コツがないなら地道に自分のペースで魔法は鍛えていくしかないね。
それから他愛のない会話をして、残りの作業を行いその日を終える。
こんな感じで毎日を過ごしていると家の増築の資金がたまった。
「早速作業の方お願いします」
「おうよ、任せとけ!」
大工屋のサイモンさん、アランさんに再び依頼をして家の増築を行ってもらう。
今回は寝室用に3部屋増やしてもらう。以前と同じ要領で作業が行われているところをリリアと眺める。
「ここの世界の家づくりって早いですね。驚きました」
「だよね、早いよね」
リリアから見ても驚く速さのようだ。リリアと会話しているときにもみるみると増築作業が進んでいく。
「おう!バッチリ終わったぞ!」
「実際に中を見て気になるところがあったらお伝えくださいね」
「ありがとうございます。リリア行こう」
「はい!」
さっそく家の中に入り追加された部屋を確認する。
「まあ当然家具はないよね。あとで見に行こう」
「そうですね、行きましょう」
部屋の広さは10畳くらいで十分な広さが確保されている。2部屋は後から来るであろう二人が使うため、最低限必要な家具だけそろえて残りは来てから購入しよう。
「これで準備も終わったし明日からはもう少しのんびりしようか。どこかにピクニックにでも行こうか」
「いいですね!お弁当の準備しておきますね」
「ありがとう。楽しみだなー」
ということで明日の予定はピクニックに決まるのであった。
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