第21話 魔法と作物

 土と火の魔法を習得して数日が経過し、資金も順調にたまり27,300Gとなり折り返し地点を過ぎた。

 ここ数日は土の魔法を中心に鍛えていきレベルが10を超えた。そしてもともと考えていた土の操作による耕しができないか実験をしていた。

 まあ結果でいえばできた。ただしまだ実用的とは言えないレベルではあった。土魔法のレベルが低いので一回の操作で耕せる量が少ないため結構時間がかかる。

 土魔法を試していて、魔法で作られる水や土は自然のものと全く一緒なのかなってふと思ってしまった。散々水やりしておいて今更だが気になってしまった。そのため実験をすることにしました。魔法で作り出した土と水で作物を育てると作物に変化があるのか。


 そして今日、その実験の結果がでる。育てる作物はカブにした。カブにした理由はすぐ育つからだ。さっそくカブの収穫をはじめよう。


 試しにカブを一つ収穫し観察する。……ぱっとみ特に変化が見られない。


「鑑定」


 俺は収穫したカブに鑑定を行う。


<カブ 【品質】1:一般的に広く流通している野菜。>


 うん。いつも通りのカブだ。品質について農業スキルのレベルが10になってから収穫物の鑑定でみられるようになった。店で買った種から育てたら品質が1らしく、品質をあげるためには肥料をあげたり土壌の改良をしたりする必要がある。それに収穫した作物を種に変換する機械があってそれで変換した種は品質を引き継ぐようだ。まあ、機械の値段が高いのでまだ持っていない。


 んー、どこを見ても普通のカブだな。なにかしら影響ありそうだと思ったんだけどな。とりあえず残りのカブも収穫してしまおう。


「…………ん?」


 残りのカブを収穫しているとふと見慣れないカブらしきものがでてきた。

 見た目は全体的に薄いピンク色で下の方の細長い根の部分がらせん状に渦巻いている。


「鑑定」


<魔カブ 【品質】1:魔力が含まれる土地で稀に発生するカブの突然変異種。>


「おお!実験成功だー!」


 なるほど。稀にってことは100%ではなかったのか。もしかしたら魔力量で変わる?……その辺は魔法のレベル上げてからでいいか。


 あとはどのくらいで売れるのかな。試しに出荷箱に入れてみるか。


「300G。ふつうのカブが150Gだから2倍か」


 安定して作れるなら収入が2倍になるな。安定して生産できるかは知らないけど。あとは味が気になるな。おいしいのか?うーん、せっかくだし食べてみようか。


 家に戻りさっそく調理をする。作るものはシンプルに浅漬けにしよう。

 まずは魔カブを食べやすい大きさに切る。葉の部分も束やすい大きさに切る。ボールに魔カブを移し塩を加えよく混ぜる。酢と砂糖を加えてよく混ぜる。あとはしばらく置いときます。ちゃんと比較できるように普通のカブも調理した。


 待っている間はマロンと遊びますか。


「マロ~ン、遊ぼう~」


「ぷぅ!」


 マロンはボールを俺の方に向かってペシッと叩き転がしてきた。


「今日はボール遊びね。そっちに転がすよ~ほれ」


「ぷぅ!」


 それからボールでしばらく遊び、その後疲れたマロンをブラシでケアしてあげる。時間もそれなりにたったのでカブの浅漬けの実食にいきますか。まずは普通のカブの方から。


「うん、ふつうにうまい」


 昆布とかあればもっとうまかったのかもしれないが雑貨屋になかったんだよね。まあ、ふつうに美味しいのでよし。それでは、魔カブに行きますか。


「んー、あんまり違いは感じないなぁ。……鑑定」


 味に大きな違いは感じられなかったため、ほかに違いはないかと思いそれぞれを鑑定してみる。


<カブの浅漬け 【効果】HP+10>


<魔カブの浅漬け 【効果】HP+10、MP+10>


 あー、MPの回復効果が付いているのか。MP自体は1分で1自然回復する。もっと効果の高いものが作れるのなら魔法が使いやすくなるな。ただ現状だと安定して作れないのがネックだね。


「ぷぅ!」


「ん?マロンも食べたいのか?少しだけな」


 マロンに少しだけ浅漬けを分けてあげる。調味料入っているし、あげすぎて病気になったら困るからね。マロンはおいしそうに食べている。うん、かわいい。


 そのあとはマロンを撫でたりして過ごすことにした。


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