第16話イジメ撲滅委員会
「一里山くんてば政府高官に送り付けるとか言って。」
「送り付けたの?」
「・・・?」
「まさか、誤送付だったんだ。」ウェーブリッジ用のパーマ液を満遍なく掛けていた。
「イチが郵便ポストと間違って生徒会長用のポストに投函したから生徒会長のヒイラギに渡って一悶着あったみたいだよ生徒会とPTAと、・・・あと先生達とね、天然のアイツらしいよ。」
「そっかー・・・。」篠の膝上にパサッとファッション誌を閉じ前方のミラーを見ていた。
「天辺が暑いわ源(ゲン)くん?」里山篠(さとやま しの)は、読みもしないファッション誌をうちわがわりにしてパタパタと扇いでいた。
「ゴメンゴメン、ダイヤル4にしてた。」禿げるかもと言いながらあわてて外したローラーボールを店の片隅に固唾けた源儀一(みなもと ぎいち)は、半笑いのまま「ネイルも出来るよ篠?」ネイルはやってなかったが・・・。
篠は黙ってミラーに写る顔面を見ている。
源儀一と年金構機(ネンキン コウキ)は、一昨日60歳、所謂還暦になった所だ。
36年前に開業した理容サロン「ラフラ」と美容サロン「アプリーレ」が順調で夏には北や南へ旅行に出掛けている絵に描いたような余裕の勝ち組、後期高齢者だ。
ラフラとアプリーレは神戸の北の北区有野にある。
かつてここは海の見えるサロンと観光名所な土地だった。
観光客が何人も訪れて外国人にも人気があったのだが、一夜にして海の見えるサロンが地殻変動の為、山になってしまった。それも阪神淡路大地震の時にだ・・・。
同じ頃、高知の黒潮町にも浜の見えるサロンが二軒あった。
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