第4話 噂の的

「ちょっと!どこ行ってたの!あんなに慌てて出て行ったら心配するでしょ!」


「ごめんね。これで許して。」


「何よそれ!?」


「お母さんの好きそうなスイーツ♡今日はあんまり良いのが無かったんだけど(苦笑)」


「あらぁ珍し。」


 母親がビニール袋を受け取り、中を確認して

「ふぅ〜ん?」

と、訝しげな表情をした。


「まあ〜ぁ?無事に帰ってきたしぃ?なんだか嬉しそうだから良いけどさっ。で?何だったの?」


「それはまた今度ね!宿題やっちゃう!」



 パタパタパタっ

 パタンっ





(ふう。チョロいな。怒られなかったや。)




 ピロン♪



【LINE】

ユン:大丈夫だった?


アミ:うん、大丈夫だよ


ユン:怒られた?


アミ:ぜんぜん!


ユン:ごめんな


アミ:こちらこそごめんね


ユン:じゃ、明日


アミ:うん、おやすみ




(さてと…宿題やんなきゃ。そう言えばユンくん「おやすみ」って返してくれないな…)




――――――――――――――――――――


[翌日]





「おはよう!」


「ちょっとー!!!昨日ソンくんと夜のデートしたの!?」


 ジアンがキラキラの目で聞いてきた。


「はぁ?デート!?」


「何があったのよ!?みんなウワサしてるよ!」


「バレー部の朝練でも、みんなその話ししてたよ。」



 人気があって有名人である事は知っていたけど、昨晩の2時間ほどの事がこんなに広まっているとは。

こうならない為の、ユンのシャーペン作戦であったのに失敗に終わってしまったようだ。




 2人の聞いた噂によると…


・夜の遅い時間に2人きりだった。

・自転車を2人乗りしてた。

・レンタルビデオ屋で映画を借りていた。

・楽しそうだった。



 どれも間違いは無い。



・借りた映画は2人で見るんだよきっと!

・いつから付き合ってるんだろ?

・実は毎日会ってたんじゃん?



 この事に関しては完全否定させて頂きます。





「おはよ。ふわぁぁ」


 あくびをしながら、私の傍までやって来たユンを見てジアンとソアは目をまん丸にして驚いていた。


 昨日の私たちとは、明らかに距離感や雰囲気が違う。

ジアンとソアは目を見合わせたのち、私たちの様子を伺った。



「私と話して大丈夫なの?ウワサになってるみたいだよ。」


「そうみたいだな。昨日アミとLINEしてた時からスマホの通知凄くてさ。返事すんの大変だった。」



(それで、「おやすみ」が無かったのか…)




「LINEってなんなんだよ!?」「聞いてないしっ」「何が起こってんの!?」「わかんないって!」

ジアンとソアが小声で騒いでいる。



(全部聞こえてるからっ!)



「朝練終わってスマホ見たらLINEがすげー入っててさ。やっぱ俺、人気あるから。」


(こんな潔いドヤ顔する人いるんだな…)


「じゃ、やっぱり話すのやめようよ。怖いよ。」


「こうなったらコソコソしない方が良いんだよ。逆に変な噂が立つだろ。で、宿題全部やった?」


「うん。」


「とりあえず1時間目の宿題見せて。」


「やってないの?」


「誰かさんを待ってたせいで、全部やれ無かったたんだけど。」


「すみませんでした!見せます!」





 机をくっつけて、1時間目の数学のノートを見せる。



「計算間違ってたらごめんね」


「どうでもいい。 あ、噂の事だけど手打ってあるから。」


「手を打ってる??どうゆう事?」



 その時、



「おー!今話題の2人じゃーん!」と

大きな声で優等生イケメンのソジンが教室に入って来た。


 ユンと同時に顔を上げ声の方を向く。


「サインしてもらわなきゃ!きゃはは!」と

こちらは可愛い系イケメンのデヒョンが後に続いた。



 私の机の前に2人が立ち、隣にはユン。

学年トップ3のイケメン達に囲まれてしまった。



 何が起きているのか、私ですら状況が掴めない。



(ちょっとでもお化粧しとけば良かったな…)





「2人ともやってくれた?」


「もちろん。ユンが頼み事なんて珍しいからな」


「僕もやったよー!効果は出てるみたいだね」




――――――――――――――――――――

〜ユンside〜



[昨晩]





(何だよ騒がしいな)



【LINE】


ソジン :ユン

    :キム・アミと何してんだよ?


ユン  :何もしてねぇよ


ソジン :今も一緒?


ユン  :いや

    :てか、もう知ってんのかよ


デヒョン:自転車2人乗りしてたって?


ソジン :ビデオ屋に行ったって?(笑)


ユン  :何で知ってんの?


ソジン :あの辺、塾多いじゃん


ユン  :あー


デヒョン:僕の友達も塾帰り見たって

    :ユンのファンクラブの奴ら

    :後付けてたらしいよ


ユン  :やりそうな奴だいたい分かる


ソジン :気あんの?


ユン  :聞き方ムカつく


ソジン :わかった、そうゆう事ね


デヒョン:いつから?


ユン  :2月くらいから


ソジン :ふ〜ん

     で、どうするんだ?


ユン  :2人に頼みたい事がある



(ま、なんとかなんだろ…)

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