2020/03/09-2

怖い夢を見たことを

決して他人に言ってはならない。


それを話した途端、夢は現実になる。


想像の薄皮を破り、

恐怖が日常へと侵出する。


裏の裏が自分ではなくなり。


目を瞑れば、

目蓋に化物の顔が張り付き。


外を歩けば、

脳に住み着いた異物がこっちを見ている。


抽象が具体となる。

形容してはならないものを捉えてしまう。


だから、他人に怖い夢を話してはならない。


言葉には力がある、とかいう話ではない。


言葉にしようとした時に、

人は恐怖を理解してしまう。


恐れを噛み砕く為に、

脳髄が事象を受け入れてしまう。


死んでしまいたくなるほど、

夢が現実に近づき、


隠していた筈の


自分に


見分けが


つかなくなる。

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