第23話 東王父
何とか話題を逸らそうと、五人が一番知りたかったことを特魔最年長の迅迦が神妙な面持ちで尋ねた。
「それで…なぜ俺たちはここに連れてこられたんですか?」
「瑤迦の器が無事かどうかを聞いてきたのはお前たちだろう?」
「え…じゃあ…」と五人の顔がぱぁっと明るくなった。しかし、天帝と鈴は無表情を崩さなかった。
その時、失礼致します、と一人の老人が入室してきた。口髭と顎髭を豊かにたくわえた天帝よりも年嵩の男性だった。天帝も髭は生やしていないから天界では滅多に見ることのない髭のおじいさんだったが、清潔感もあり爽やかな雰囲気だったので、嫌悪感は全く感じない。五人には見覚えのない顔だったが、
年配だったので、片膝をつき礼をとった。
「お久しぶりですな。天帝、鈴」「あの件以来だな、東王父」「おひさしゅうございます。東王父様」と挨拶を交わす三人の言葉を聞いて、
五人は身体を硬直させた。(この方が東王父様!?男仙の長!来るなら言っといてよ!天帝!)つい先ほど鈴が花音に呼びに行かせたことなどすっかり頭から抜けている五人は心の中で天帝に文句を言った。一通り挨拶を交わした後、東王父は五人に近付いてきた。
「そなたたちが当代の特魔じゃな?噂は聞いておる。なんでも歴代最強とか。ほれ、そんなにかしこまらんで良いから面をおあげ」全てを受け止めてくれそうな優しい声だった。それぞれゆっくり頭を上げ、名乗った。「お初にお目にかかります。特魔隊筆頭、炎迦にございます」「特魔隊、流迦にございます」「同じく、雷迦」「同じく、迅迦」「同じく、瑤迦でございます」と瑤迦が名乗ったところで東王父が口を開いた。
「これは姫様、久方ぶりですな。お元気そうで何より。よう戻られました」
その言葉に瑤迦はわかりやすく動揺した。その様子を見て流迦が尋ねた。「瑤迦?東王父様にお会いしたことがありましたか?」
流迦の言葉を聞いて東王父が首を横に振り否定した。「覚えておられぬで当然ですぞ。私が姫にお会いしたは二度ですが、初めてお会いした時はあなたはまだ赤子で、二度目はあなたが傷を負われ、鈴とともにこちらに来た時ですからな」
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