教会②
一か月程して 三人共孤児院に慣れた頃 教会が出来上がった
三人共 相変わらず俺のベッドで寝ているがもう諦めている
午前中は勉強 午後は畑の手伝いで頑張っているから しょうがない
マリアートは昼も夜も一日中 建設中の教会で祈りを捧げていた
完成した教会に入ってみると 白い壁に嵌ったステンドグラスを通した
光が真新しい床や清潔な長椅子に降り注いでいる
最奥にはマりアートの像は無く 少し豪華な椅子が置いてある
「せっかく受肉しているから 暫くは椅子に座って 皆の祈りや話を聞こうと
思ってな」
マリアートが言うが 胸が小さいと作られた像を壊したとエドに聞いている
炊き出しも兼ねて街の人々へのお披露目をする事になった
街の人たちが続々と教会に入っていく
「こんな物しか お供え出来ませんが お許し下さい」
ボロを着た女性と横に座る子供が手を合わせている
供物台には 多分子供が釣ってきたであろう魚が3匹乗せられている
「大事なのは供物の良し悪しでも寄進の額でもない 心から祈り 今を生きている事に対する感謝の気持ちじゃ」
教会に居る人々は跪いて祈り始めた 嗚咽を漏らしている者もいる
祈り終わった人々が教会から出てきはじめる
「この前 コイデ神本殿に行ったら「感謝は金額ですよ」って言われて叩き出されたのよ」
「マリアート様はお姿は神々しいし お言葉も慈愛に満ちあふれいるわ」
皆 にこやかに炊き出しの飯を食べ 談笑していた
そんな中 場に似つかわしくない豪奢なドレスを着た少女が話しかけてきた
「ねえ 貴方がクロノス? マリアート様はどちらかしら?」
教会の方に指をさすと彼女はタッタタと走って行った
教会のドアをバーンと開けマリアートの前に行く
「マリアート様 お久しぶりです 神託により私 エリザベス 本日まで内政の勉強を頑張ってまいりました」
「おお エリザベス久しいな そうか 神託を信じて頑張ってくれたのじゃな」
「はい ところで 私はどなたにお仕えすればいいのでしょう?」
「まあ そう焦るな おまえの力を借りるのはもう少し先じゃ」
肉と野菜の盛り合わせを持って教会に入ると先程の少女とマリアートが話し込んでいた
「マリアート 腹減っただろ ここに置いておくから都合のいい時に食べてくれ」
二人の邪魔にならないように小声でマリアートに言う
「おお クロノスすまんの 実は腹ペコじゃ この子はエリザベスといって 昔私が神託を授けた娘じゃ」
「エリザベスと申します 宜しくお願い致します
呼びやすいようにべスとでもお呼びください」
「クロノスだ 宜しく頼むよ べス」
それ以来 週一の炊き出しの手伝いにベスは来るようになった
街の人々も頻繁に教会で祈りを捧げるようになり それは王国中の噂になった
害意を持つ者は結界によって弾かれるので悪企みをするような輩は門さえ通れないままに帰るしかなかった
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