邂逅

皆でワイワイしながら肉を食ってると 後ろの方でガサガサと音がして

金髪碧眼の美しい女性が現れた

「わ 私にも食べさせてくれまいか?」

ヨロヨロと近付いてきながらも 目は肉に釘付けになっている

「よかったらどうぞ」

シャルロットが言いながら場所を空ける

「そうか すまんな」

女性は取り分けてもらった肉をガツガツと食い始めた

「受肉をしたのはいいが 実体を持つと腹が減るのが悩ましい」

口一杯に肉をほうばりながらモゴモゴと何か言っている

クロノスは毛皮の乾燥をしながら 燻製肉も作る


 やっと満足したのか女性が話始めた「ご馳走になってすまんな ありがとう

私の名前はマリアート シュルツ 今のこの地の神をやっている」


「この地の神はコイデ神じゃないんですか?」

シャルロットが聞き返す

「いや コイデ神なんぞ 千年前に滅んだ」

マリアートは歯に詰まった肉をほじり乍らつまらなそうに答える

「千年の空白期間が経って 新たにこの世界を見る様に上神から言われたので 受肉して

様子を見ようとしたのだが受肉をすると普通の人と同じく腹はへるわ 眠くなるわで難儀しておったのじゃ」

「そうなんですか お困りでしたね よろしければうちに来ませんか? たいしたおもてましはできませんが

夜露は防げますし野宿するより安全ですよ」

シャルロットが皆を見渡して言葉をかける

「本当か?いいのか」

リリエルもマオも頷いて笑みを浮かべる

久し振りに肉を食べて少し活気がでてきたようだ

猪の毛皮と燻製肉を次元収納に放り込むと火を川の水で消してみんなで洞窟に戻る

帰り道にシャルロットがキノコと山菜を摘んでいく


 洞窟に着くと草のベッドの横に猪の毛皮を敷く

夏の終わりとはいえ朝晩は少し冷える今朝もくっついて寝てたのは肌寒かったのだろう

朝眼を覚ますと 合い変わらずシャルロットリリエルが両腕に抱きつきマナは腹の上で香箱座りで寝ていた

顔を回すとマリアートは既に」起きているようでなにやら難しい顔をしていた

クロノスが起きたことに気づくとジッと彼を見ながら

「お主はどこの生まれじゃ?」

と聞いてきた

「爺ちゃんの話によると 俺は冬の寒い夜に空から降ってきたらしい」

答えた俺と三人の少女を見ながら

「ふうむ ここで邂逅を果たすとはのう」

何か納得したように頷く


 ダイヤコングの様子を見に行く為三人から離れ身を起こす

「俺はちょっと用があるから 少し出てくる」

マリアートに声を掛け洞窟を出る


罠を仕掛けた場所に来ると 穴に嵌ってダイヤコングが呻いていた

ダイヤコングは物理攻撃も魔法も効かないので普通なら倒しようがないが

落とし穴に落とし上から土をかけて窒息させれば倒せる

俺はダイヤコングの落ちた穴に上から大量の土砂を被せる

三日程で大丈夫かなと考えつつ周りの様子を伺う 何も異常が無い事を確認し

洞窟へ帰る


洞窟に戻ると三人とも起きていたので 昨日の燻製肉とキノコやハーブに次元収納

から出した塩で味付けしたスープを作る

「おはよう あと三日程世話になるから 俺が食事当番をするよ」

「「「美味しそう」」」

器に盛ってマリアート含めた四人が食べる

「お兄ちゃん いつまでも居ていいんだからね」

「にいに ずっと居て」

「兄貴 俺たちと一緒にここで暮らそうぜ」

「私も もう少しここに居ていいかのう?」

最後にマリアートが申し訳なさそうに言う

シャルロットたちは笑顔で頷く


三日後ダイヤコングを回収して洞窟に戻る

「みんな 聞いてくれ 俺は今日ここを出ていくが 良かったら俺が

世話になっている孤児院に来ないか?もちろんマリアートも」

ずっと考えていた事を話す

四人は顔を見合わせ

「そしたら お兄ちゃんと一緒にいれるの?」

「にいにの そばに居たい」

「兄貴と暮らせるんだな」

同意した三人が少ない荷物をまとめ始めた


「マリアートも神なら布教するのに人が多い場所がいいんじゃないか?」

「うむ そうじゃの」

全員の準備が終わったところで

「瞬間移動するから 俺につかまってくないか」

「「「はい」」」


シャルロットは右にリリエルは左にマオは腰にしがつるいてきた

マリアートは袖をちょこんと握った

「テレポート」


一瞬世界が揺らぎ 次の瞬間には孤児院横の教会の前にいた

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