第11話 “Zファイル” その壱

 どの学校にも七不思議がある。

音楽室のピアノ。理科室の人体模型。トイレの花子さん。

…数え出したらキリがない。

仮にもここは学校であるので当然七不思議とうたわれるなにかはあるよう。それを一身に受け止めて依頼として小銭稼ぎを目論むめざとい幹部がここにひとり。


《フレンside》

「さーてさて。依頼は来ているかにゃ〜」

中庭の百葉箱。この中にはこっそり誰かが依頼を頼んでくる。今日は…一通の手紙と…あんぱんとコーヒー牛乳。張り込み?


「ええと……『寮生です。最近うちの寮のみが聞こえる騒音で全く寝られません。どうか誰かに届きますように。by314寮生一同』 なるほど。とりあえず現場に行こうか。」


初めて百葉箱に依頼が入っていたのを確認したのは数ヶ月前。

たしか、昼からパソコンの前で作業をしていて眠くならないドリンク“Dragon”を飲んでいたせいで、仕事が終わった後も眠れず早朝散歩していたときにたまたま発見。足元がふらついて百葉箱に手をかけたときに扉が開いて手紙に気づく。


「さて…。」

314号前。他の寮となんら変わりないが。大体原因はわかった。このすぐ裏には……。


___森林訓練場

シルクがいつも訓練したり昼寝したりしている場所だ。丈夫なツタや的が吊るされており、シルクのようなサルみたいな動きをするやつには必要そうな訓練場だ。

…うん、間違いない。この音だ。

たぶん音の正体は……あそこか。あいにく待ち合わせはないからこれ(小石)で…っ!

ぼくが音の正体に向かってそれを投げると音が一瞬で止む。そして音もせず瞬時に背後に。そして首に鋭利な…石?

「フレン、何してるの」


「やあ、君こそ。…レコード」


暗闇から月明かりへ顔を出すレコード。手には細長い石。腰には銃が2本に足にナイフが一本。ライトも持たずによく木から落ちないなあ。

「珍しいね。訓練?」


「ウン。昼は時間取れなかったからね」


「…最近眠れてなさそうだったのはこれのせい?」


「半分正解。フレンはなぜここに?」


「部下が迷惑してるんでね…。あなたの訓練の音で。」


「ひっ!…ほんと?」


「うん。相談してくれた子がいるの。だから静かにやるか違う場所でお願いしたい。」


「ウン、わかった。」


あ、いいんだ。

「んじゃ、そういうことで。」


「んー…?まさかフレンくん、そのままお部屋に帰るつもりではないよネ!体、なまってるんじゃない?」


「えっえーあのーすいません、引っ張るのやめてもらってもーあーレコードさーん。わかった、歩けますからー耳引っ張らないで…わーー」


こうして今宵も一件落着。










このフレンの一部始終を影からひっそりみる者がいた。

こうしてまた、Zファイルにまた一つ学校の七不思議が刻まれた。

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