第66話
「それで今更君がなんのようなのかな?」
ほぼ完璧に気配を消して寝室に忍びこんだのだが、気付かれたようだ。
「少し聞きたいことがあってな」
すっかり傷の癒えた剣神は特に警戒した様子は無い。
「私に話す義理があると?」
「ああ、知っていることを教えてくれればネロについて言っていた事をネロに伝えないでおこう」
いまさらネロが名前も覚えていないこいつの事をどうこうするとは思えないし、封印を解かなければ同仕様もないのだが、こいつにすれば軽い脅しくらいにはなるだろう。
「くっ。卑怯な……それで何が知りたい?」
予想は当たり、剣神は話を聞いてくれることになった。本当に人並み外れた力を得ているのに、中身は残念な奴だ。まあ、今はそれが功を奏したことになる。
「ラー・ブレスカから万魔殿の最下層に何があるか聞いていないか?」
こいつはラー・ブレスカの使徒になっている。つまりどこかでラー・ブレスカと会ったことがあるのだろう。ならその時、このリンガミルの迷宮についても何か聞き及んでいる可能性はある。
「なるほど万魔殿か、あそこは私でも攻略不可能な領域。最下層にはラー・ブレスカ様の御子息。ラー・カイラル様が鎮座し神々すら恐れる秘宝を護っているらしい」
それがネルソンの言っていた
それこそ俺のような神格位クラスでもなければ先に進むのは難しいだろう。
明らかに他の三つの迷宮とは毛色が違う。
ネロの力をそれだけかの神竜が恐れたといえばそれまでかもしれないが、ネルソンの話が信用できなくなっている分、出来るだけ情報は欲しい。
「その秘宝についてラー・ブレスカは何か言っていなかったか?」
「うーん、人の手には余る代物とだけ、詳しい事が知りたければ最下層まで行って、ラー・カイラル様にでも聞け、まあ、辿り着けたらの話だがな。ハッハッハッ」
なるほどこの男の言う事は最もだ。
おそらく
つまり、やる事は変わらない。
万魔殿の最下層そこを目指す。それだけだ。
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