(四)-2

 それでも僕は、走って追いかけた。兄の背中に追いついた頃には、頭からずぶ濡れになり、滴る雨水が唇をつたって口の中に入ってきた。

 そんな姿で、僕は兄に背後からしがみついた。

「ちょっと待ってってば。ごまかさないでよ!」

 息を切らしながら、僕の口唇は訴えた。

「ナリ。俺たちはもう子どもじゃない」

 兄は口唇を動かしながら、持っている傘の半分を僕にさしてくれた。

「それにお前ももう高校生だろ。そろそろ、大人になれ」


(続く)

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