燐光のアウラ

三色団子

プロローグ

 この世界には5つの国と、幾つかの国が併合し新たな国となったものが存在している。その中でも大国のオーム国には歴史上2人の天才学者がいた。一人はある脳科学者で一人は天文物理学者である。


 前者は150年以上前になるが人間の脳の一部である松果体だけを薬物で刺激することで新たなエネルギーを生成するメカニズムを発見した。そして、その力がもたらしたのは一個人で超常を起こすものだった。


 その科学者は生成されるエネルギーを〝星気光せいきこう〟と名付け、それで起こる超常を魔法にちなんで〝醒魔技能せいまぎのう〟と名付けた。


 後者は50年ほど前に現れ、惑星と惑星を繋ぐ時空の穴を創った人である。その数は年々増えていき名前は惑星間関門もとい惑星間ゲートと呼ばれた。


 人が超常的な能力を手にしたことで電力や水、火それに鉱物や木材、ガスなどの天然資源に頼らなくても生活できるようになっていった。


 しかし、オーム国やそれに準ずる大国が徐々に天然資源からの脱却をしていく中で隣国はその資源に依存していた為に時を重ねる毎に衰退していった。隣国は魔醒技能による代替が追い付かず、製品技術も低く他国の製品とは見劣りし輸出しても環境汚染の名目で高い関税などで値での差別化が難しく全く売れず仕舞いであった。そのせいか隣国の企業は業績が悪化し失業者が増えて行った。また、インフラ整備も他国に委託しており補修する際の金額も財政を圧迫していった。治安も同時に悪化した事もあり、隣国に住んでいた富者はこの国に流れ込んだ。


 又、属国となった国では宗教間での争いが起こり瞬く間に戦火に包まれた。只、連合国となった所は争いもなく中立の立場をとっていた。


 これらを踏まえオーム国は不法移民の流入を懸念し国交の断行と満18歳以上の兵役を決定した。


 以前とは様変わりした世界とは裏腹に他の惑星へ行く扉が出来た事が文明を更に切り開かせた。只、このことは自国だけに秘匿され他国とは共有されるこのないものだった。


 但し他の惑星に行くには資格を用し、取得するには試験に合格するか公設の専門校に入り卒業するかの二択であった。


 そして、惑星に行き未知を解明する人を〝闡幽士せんゆうし〟と呼んだ。


 今現在、醒魔技能保有率が9割に迫ったオーム国の社会では能力を評価する等級を2つ国が公布した。題して能力遍等級のうりょくへんとうきゅう能力純等級のうりょくじゅんとうきゅうとし、共に基準は6つに分けられ闡幽士の資格の有無を考慮された上での12等級であった。


 これは、そんな世界で生まれた人間の物語である。

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