第13話 月谷レボンの配信②
圧倒された。
あれほど圧倒されたのは初めてだった。
新規勢が来た時、新規勢と古参勢との軋轢を無くすトーク技術。
少し過激な発言もあるが見ていても、コメントしていても楽しいリスナーとの掛け合い。
一つ一つの会話のランクが僕より数段上だ。
このグループのリーダーがアキタだという人も一定数存在するが間違ってはいないのかもしれない。その人達はアキタの配信スキルが僕達より数段上で僕達の配信が下だと思っているからだろう。
自分達の推しがその人より下の人につくのは悔しいものだ。例え推しがどう思っていようが、あんな自分の推しより能力が低い人につ付いていくなんて! と思ってしまうかもしれない。
解決策はただ一つ僕がアキタを越えることだ。
「アキタの配信を見てどう思ったか...ですか...。はっきり言って凄いとしか言いようがないですね。トークの一つ一つがよく考えて話されていると感じました。僕もそれに学ぶ部分というのが多くあるなと思いましたね」
: 本音は?
「何を食べたらそんなトークが出来るんですかね?」
: 犬
「アキタのファンマークつけてるしアキタのリスナーですよね!? なんで推しを食べさせようとしてるんですか! ...次行きますか。タイヨウさんですね。この人はやっぱり...」
【犬山アキタ】: ( ;∀;)
「アキタ!? ...さて、タイヨウさんですが...」
ピロン!
ん? メールか?
犬山アキタ:(´;ω;`)
わざわざ個人メールで送りつけてくるなんて暇人かよ!
: 何かあったの?
「えー...アキタがメールでまた泣いているような顔文字を送りつけてきました。アキタも見ていると思うので言いますが...もう反応しませんよ? ではタイヨウさんの配信ですが、なんといってもやはりあの明るさですよねぇ。声にも表れている。そしてあの声であの目標ですよ...ある人に私の配信を届けたいっす。それが私の目標っす、って言ってましたよね」
理由とかは明かしていないが、届けたいという思いは伝わってきた。それと同時に悲しそうな思いも。
「さて、最後は南羽ペギさんですね」
: 本音は?
「庇護欲がそそられましたね。かわいかったですね...って、何言わせるんですか! まだ思ったことすら言ってないですよ!」
まったく調子が狂うなぁ。でもこういうのが醍醐味なのかもしれないが
「ペギさんの配信はへんた...西森セバスさんの襲来から始まりましたね」
: 変態って言おうとしたぞこの社長
: いや、まぁ間違ってないけども
: 襲来www
: 悪い人じゃないんよ...
: 良い人だよ。知らんけど
「その時点でもかなりの衝撃だったのですが、その後ですよ。いきなりゲーム配信始めたじゃないですか。初配信なのにですよ! 著作権的には問題のないゲームなので良かったのですが...まぁそれはともかく上手かったですね。特に最後の残りの敵との1vs1! 痺れましたねぇーお互いに牽制しあって後ろをとって撃破! いやーあんな熱いゲームがしたいと思いましたねー」
: 確かに最後のシーンは熱かった
: 牽制からの煙幕背後は強い
: あの動きかなりやりこんでるだろ...
: ペギはゲーム上手かった
「さて、ちょっと水分補給でも...」
ゴクゴク
サクサク
ゴクゴク
: 今なんか食べただろ
: 何飲んで何食べたの?
「あの午前に飲むと犯罪になると言われている紅茶とさっき焼いたクッキーですよ。自分でこういうのは作るんですがこれがまた美味しくて...」
ブーブーブー
ん? 今度は電話?
「もしも「もしもし。ペギです。次集まる時手作りクッキー持ってきて....じゃあ」
ツーツー
...切れたんだけど。どうしてレーブユニオンにはこう一癖も二癖もあるような人物が多いのか...まだ会ってからそんな経ってないぞ?
まぁ、いいか
「えーとですねー、ペギのためにクッキーを焼くことが確定しました。電話で次会う時に持ってこいと」
: 午前に飲むと犯罪www
: やっべ...午前に飲んじゃったよ...
: 社長に何やらせようとしてんだよ
: 俺も食べたい
: 社長じゃなくて秘書じゃん
: 顎で使われててかわいそう
: マネージャーかな?
: どうして配信中に会話を試みるライバーが多いのか...
「社長だし仕方ないことなのかもしれませんね...社長って言っても社員殆どいないし一般的な社長と呼ばれる人の暮らしはしてないですけどね...収入はマイナスです」
: これが現実やな
: 悲しいなぁ
: ( ;∀;)
: まぁまだ始まってすぐだし
【たぬポン】: 遅れてごめーーん。来たよー!
: たぬポンきた!
: たぬポンさんだ!
「あ、たぬポンママ! 遅れても大丈夫ですよーこんばんはー。さて、紹介が遅れました。月谷レボンのママのたぬポンママです!本人曰く永遠の18歳だそうです」
【たぬポン】: ...
「...忘れてください。さて、たぬポンママへの土下座が確定した所で次の...そろそろいい時間ですね。では次の配信は...3日後にゲーム配信を行いますね」
: なんのゲームやるの?
「それはその時までのお楽しみってやつです。事前のネタバレは良くないと思ってますからね。ではまた3日後にお会いしましょう。...終わりの挨拶も決めてませんでしたね...おつれぼー? なんか違うな...ではシンプルに行きましょうか。月谷レボンの休憩でしたー。では、またいつか~」
: 悲報休憩終わる
: 仕事やね...
: うっ...
: 明日がぁぁぁぁぁぁあああ
: かわいそう
: ニートワイ高みの見物
: 低めだろ()
: 間違いない
: またいつか~
配信が終わった
くるくると穏やかに回り続ける数字
1万は越えないだろうなぁ...
1万を越えないということは即ちレーブユニオン登録者ランキング最下位になるということである。
事務者の社長がこれだと示しがつかないかもしれないなぁ。
まぁでも、全員の配信が無事で終われて良かったぁ...
光輝くパソコンの前で僕は小さな...それでいて大きな喜びを噛み締めていたのだった。
_______________________________________________
あとがき
ここまで見てくださってありがとうございます!
ようやく配信スタート!!
少しでも良いなと思ってくだされば☆、フォローの方よろしくお願いします!m(_ _)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます