2023年9月18日
私たちは国の外へ逃げなければならない。昨夜は実家の前の道を憲兵たちが塞いでいた。すりガラスのドアの向こうで松明が燃えて、彼らが馬代わりに使っている怪物の影が行ったり来たりするのを見ていることしかできなかった。家の中を真っ暗にしていたので彼らは入って来られなかったが、もう同じ手は通用しない。
国境近くの市場はきらびやかで人で溢れかえっている。店は一つの横長な建物の中に収容されていて、ドアを開けば別の店に入ることができた。そして、建物はそのまま出口に続いているのだ。一番最後の店は宝飾の店だった。天井からルビーやエメラルドで彩られたタペストリーが釣り下がっている。台の上には翡翠のネックレスや銀の指輪が所狭しと並んでいる。私は目を奪われて思わず品の一つを掴むが、そのときドアからイギリス王室の憲兵の格好をした男が入ってくる。私は急いで反対のドアを出る。外は真っ白で足元はガラスだった。私は横向きのビルの上に立っていた。前方には白い大きな壁が視界いっぱいに広がっている。ビルの上を歩いていると真ん中辺りに四角い窓くらいの大きさのへこみがあり、その中に鉢が一つ置かれている。鉢にはピンク色の花が咲いている。
実家で荷物をまとめていると飼い猫が飛び降りてきた。つい昨日別れのあいさつをしたばかりなので気恥ずかしかったが、抱き上げて事情を伝える。部屋に魔女が現れて出発の時間が近いことを知らせる。それから次々と人々がやってくる。その中に黒い僧服の男がいた。統治者の一人だ。彼に請願すれば迫害されなくなるかもしれない。そう思って私は彼の足にすがりつく。
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