第67話 そして世直し旅 ⑨
【左近side】
わたしとお銀さんは、赤穂城の奥へ奥へと連れて行かれた。
よどんだ空気に鼻をつく臭い、そして何とも言えない体臭の臭いが漂ってきた。
そういえば、この世界では お風呂が一般的ではなくて、田舎では
駿府のような都会では、今川義元が広めた銭湯がある。 だから、お湯を溜めたお風呂に人気はあるけど、赤穂藩のような田舎までは広まってないようね。
部屋に通されると、裸の女の人達が部屋の端に寄せられて寝ている……気絶しているのかしら ?
「目の毒だから、あなたは見ちゃダメよ ❤️ 」
お銀さんに強制的に顔の方向を変えられたわ。
……いつの間に、縄脱けしたのかしら ?
まだ、わたしは縄に縛られているのに……
「彼奴らは、捕縛も
まったく、たるんでいるのか、太平の世の弊害よな 」
「そう言うな、
今時の若い者は実戦経験も無く、人を斬ったことの無い者が多い。
まして、
わたし !? わたしは一般人だから縄脱けなんて無理ゲーですわ。
「きっ 貴様ら、何者だ !? どうやって縄を解いたのだ ?
この者の命が惜しくば、大人しくしているのだな ! 』
素っ裸の浅野内匠頭が、女の子に短刀をあてていた。
「うわっ、
想わず考えていたことが漏れてしまうと、
「小娘、儂の何処が小さいというのだ !? 」
浅野内匠頭が顔を真っ赤にして、わたしに噛みついてきた。
「そのままの意味よ ! 心が小さい、
ついでに、大事なトコロもお粗末で笑ってしまうわ !
目の毒だから粗末なモノを隠しなさいよ、マダオ 」
怒った
「小娘、無礼討ちにしてくれる ! 」
わたしに向かって刀を振り下ろした。
パシッ !
宗矩おじ様が浅野内匠頭の振り下ろした刀を両手の手の平で受け止めていた。
初めて見たわ、真剣白刃取りを !
「柳生新陰流 無刀取り ! 」
言うが早いか、宗矩おじ様は浅野内匠頭から刀を奪い蹴り飛ばしてしまった。
いち早く、如雲斉おじ様が浅野内匠頭に近づき後ろ手にして関節技?を決めてしまうと同時に、外が騒がしく成り、ドタバタと誰かが暴れている音がすると徳松さんが、
徳松さん……いいえ、今川綱吉が乗り込んで来たことに周りの人達はビビっていた。
「静まれ、静まれ、この紋所が目に入らぬか !
このお方を誰だと心得る、おそれおおくも今川幕府 第五代将軍 今川綱吉様であらせられるのであるぞ。
将軍様の御前である。 頭が高~い !
ええい、控えおろう ! 」
助さんが口上をして、角さんが印籠を出した。
「なっ ! あっ あの家紋は『丸の内に二つ引両』
今川将軍家の家紋だ !
皆の者、控えるのだ ! 」
皆が控えたところで徳松さんの名裁きが始まり、浅野内匠頭は隠居して、隣の藩である天津藩の本郷寺に行くことが決まり、赤穂藩は浅野内匠頭の弟さんが継ぐことに。
良いところを徳松さんに取られたけれど、フラグを折ってくれたから許してあ▪げ▪る。
※マダオ……まるでダメな親父の略
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