勘違いからの最強物語

プラントスクエア

1章

第1話 プロローグ

ピー!ピー!ピー!


この日1人の人間が死んだ。名前は津村十蔵(18)。産まれてからずっと重い病に苦しみ病院生活を送っていた。学校に通うこともできず運動もできず恋人もできず何もできないまま病にて死んだ。


津村十蔵は病にて死んだ・・・はずだった。


「・・・え?・・・どうして僕は・・・死んだんじゃ・・・」


生きていることに困惑をする津村十蔵。そこは見渡す限りの草原に一軒の和風の家が建っているだけ。


「・・・でも、ここどこだろう?・・・病院は?・・・一体何がどうなってるんだ?」


そんな時お爺さんが家から出てきて姿を現す。


「こっちに来てお茶でも飲まんかね?」


そう手招きするお爺さん。そのなにやら事情を知っていそうなお爺さんに尋ねる十蔵。


「お爺さん、ここはどこですか?僕は病院で死んだと思ってたんですけど?」

「すべてはお茶を飲みながら話そうかの」


そう言って家の中へと消えていくお爺さん。何も分からないままお爺さんに言われるがまま家の中に入っていく。


「こっちじゃよ~」


十蔵は声の方へ行った。するとそこはリビングのような部屋で既にお爺さんが椅子に座りお茶を飲んでいる。椅子はもう1つありお茶が既に用意されている。


十蔵はその椅子に座りながら改めて事情を聞いた。


「いったいここはどこなんですか?お爺さんは何を知ってるんですか?」

「もう分かっておるんじゃろう?ここは死後の世界じゃよ」

「・・・やっぱり・・・そうなんですね・・・」


確かに死んだ記憶のある十蔵はこの展開をある程度予想していた。


「それじゃあ、あなたは神様ですか?」

「うむ、その通りじゃ」

「・・・死後の世界って本当にあったんですね・・・」


覚悟は物心がついたときから決まっていたためここで真実を知ったからと言って狼狽えたりはしない十蔵。


「・・・僕はこの後どうなるんですか?」

「本来ならばこんな場所に来ずに輪廻転生を果たすのじゃがお主には記憶を持ったまま転生してもらう」

「て、転生?・・・え?あの漫画とかアニメとかである異世界転生ですか?」

「うむ、その通りじゃ」

「え!?でもなんで僕が!?」

「そんな事は気にせんでええ。宝くじにでも当たったと思っとけばよい」

「・・・ええ~・・・」


まさかの異世界転生に驚きを隠せない十蔵。しかし神様の話はまだ終わらない。


「それで?どうするんじゃ?」

「どうするって何がですか?」

「決まっておるじゃろう?チートじゃよチート。何が欲しいんじゃ?」

「チート貰えるんですか?」

「儂はチート系の作品が好きじゃ」


この時十蔵は心の中で「神様も案外俗物なんだな」と思った。


「チート・・・チートですか・・・」


チートを考え出した十蔵。そんな時に頭に浮かんだのが前世の苦しみ。病気で思うような楽しいことが何もできなかった十蔵は病気にかからない最強の身体が欲しいと思った。


「やっぱり・・・()最強の身体かな・・・」


そうまだ考え中だった十蔵はボソッと呟いた。しかし神様はそれを聞いていた。


「うむ。最強の肉体じゃな!チートっぽいのう!」

「え!?い!?いや違います!?そうじゃなくて!?」

「ではもう時間もないのでな!転生じゃ!達者でのう!」

「勘違いです神様~!?」


そういいながら十蔵は神様の勘違いによって異世界最強の肉体に転生を果たした。

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