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「つまり、去年、一番売れた作品の主演と監督と連絡が取れないって事か?」

「は……はい」

 雇われ社長が飲み会の帰りに事故死した途端、「親会社」から役員が送り込まれた。

 こいつは、その1人の……新社長だ。

 その手の事にはうとい俺でも高級だと判るスーツだが……その服の下の肌にはトライバル・タトゥーが彫られてそうな感じの若い男だった。

 多分だが、副社長から平取……役職なしの肩書だけの取締役……に降格された俺より一〇以上若い。

「じゃあ、どうやって続篇作る気?」

 去年のウチの会社の最大ヒット作「エセ・フェミNPOわからせ凌辱調教」の続篇「公金チュ〜チュ〜系がオ♂ポ・チュ〜チュ〜系になりました。幸せです、ひぎぃ♥」を早く作れとかされてる。

「判りました、何とか連絡を……」

 新社長は右手を出して指を3本立てる。

「3日以内に連絡が取れなけりゃ、代りの主演と監督を見付けろ」

「は……はい……」

「それから1ヶ月で仕上げられるな?」

「い……いや……ですが……」

「どうせ、買う奴らは出来の良し悪しなんて判んねえオタクどもだろ。雑でいいから仕上げろ。そして、さっさと稼げる内に金を稼げ」

「あ……あの……」

「あのなぁ……。このAVの元になってる団体は、潰れかけてんだろ? 潰れる前だから買う奴が居るんだ。潰れた後だと、誰が、こんなモノ買うんだ?」

「で……ですが……」

「あんた、AV屋のクセに何も判ってねえのか? この手のモノはモデルになってる奴らがオタクどもから憎まれてるから売れてんだろ。オタクってのは、自分が憎んでる奴らが酷い目に遭うのを見てセ○○リこくような変態どもだろ? この団体が潰れて、オタクどもが、こいつらの事なんて忘れたら……誰が、こんな安直で出来の悪いモノを買うと思ってんだよ?」

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