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「ひょっとしたら、私の勘違いかも知れませんが……警察の現場検証を隠し撮りされてませんか?」

「え……おっちゃん……何、言ってんだよ?」

 心霊ものの動画を配信している竹田尚樹なおきは、自分に声をかけた初老と中年の間ぐらいの男に、そう言い返した。

 さっきやった連れとの言い争いと、この冴えない外見の男の一言のせいで、警官達が自分の方に目を向けた。

「勝手にやってろ。あたしは、この件から降りるから」

 アドバイザーのつもりで雇った自称・霊能者の春日かすが美由紀は、冷たい口調でそう言うと、事件現場に背を向けて歩き出す。

「ちょ……ちょっと待ってよ……」

 むしろ、そう言ってくれたのは、好都合だ。

 竹田は春日を追い掛けるフリをして、その場から逃げ去ろうと試みる。

 何とか巧く行った。

 路地から西武新宿駅横の大通りに出て……。

 何故か、春日は立ち止まり、自分の方を厳しい目で見ていた。

「ああ、そうだ、あんたみたいな人間の屑にとっては愚問かも知れないけどさ……」

「へっ?」

 理解出来ない。

 予想出来ない。

 春日が自分に何を言おうとしているのかが……。

「例えばさ、あんたが何かをやりさえすれば、あんたの同業者や、あんたに関わりない誰かが大量に死にまくるのを防げるかも知れない。でも、それをやらなかったら、本当に大量に死人が出ちまった。そんな事が起きたら、あんた、嫌な気分になるかい?」

「お……おい、何、言ってんだよ?」

「この件、本当マジでヤバいよ。どんだけ死人が出るか予想も出来ない」

「だから……何を言ってんだ?」

「どこの誰か知らないけど……あのコスプレ野郎が、あまりにも馬鹿でトンデモない真似をやるように仕向けた何者なにもんかが居る。意図的にやったんなら、そいつは、無茶苦茶邪悪で頭もいい。意図しないで起きた事なら……そいつは、とんだ大馬鹿だ」

「何の事だ? おい、昨日のアレは何で起きたか……見当付いてんのか?」

「呪詛返し」

「へっ?」

「あのコスプレ野郎は……多分だけど……どっかの神様そのものか、どっかの神様の強い加護を受けてる誰かに呪いをかけてしまった。それも、本人が気付かない内にね」

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