第63話 オタク友達

 姉貴に買ってきて貰ったブラとショーツのセットを、家でチェックした。



「うん、色んなサイズの美しいレースの下着セットだ。問題ない」



 となれば、明日はドールショップ巡りと手芸店で布とレースティッシュ系の購入かな。


 可愛い花柄プリントの布をこちらで買ってきてあちらの針子にドレスを縫って貰うのも良い。

 あ、ミシンも買うか。 


 ミシンの使い方の動画もダウンロードしていかないと。

 そう思って俺は端末に動画をダウンロードした。


 が、しかし、この動画では日本語で使い方を喋っているから翻訳がいるな。



 翻訳道具を魔導具で出せるかな、海神の帳面で。

 俺は早速手のひらサイズの翻訳道具を描いてみた。



 帳面の紙を破ると! おお! 出た!

 早速海外の動画で翻訳機能を試してみたら、ちゃんと俺に分かる日本語になっていた。


 注意書きに好きな言語で聴けると書いておいてよかった!!


 


 翌日になって、朝からコンビニで買い物をした。


 ついでにコンビニ前のポストからまた眠り草のお茶を不眠症の友人に封書で送り、その後でレンタカーを借りてから、また違うコンビニの駐車場内で明太子と鮭のおにぎりを朝食として食べた。


 その後で中古ドールショップへ向かった。


 ドールは新品を買うより中古の方がある程度の念が籠もってて動く可能性もあると思ったからだ。


 前のオーナーの結婚出産等で環境が変わっただとか、金欠で仕方なく売られたドールも、どこぞの店で淋しく誰かのお迎えを待っているかもしれないし、中古も扱う店で探すことにしたのだ。

 里子でもいいだろう。


 幸せにしてあげられたらいい。

 例え賢者の家に数日間置かせて貰っても、動かなくても、その時はまた店に飾っておくこともできる。


 中古ドールショップで淋しげに見え、目についた銀髪の女の子ドールをお迎えした。

 男のドールもあったけど、やはり女の子の方がドレスを着せたり着せ替えが楽しめるしな。


 中古ドールは素っ裸だっだので急いで服を買うことにした。


 その店には中古と新品のドール服も扱っていたので、数着購入した。

 ついでにミラの為に新しいウィッグも買っておこう。

 気分で髪型や色が変えられるともしかしたら嬉しいかもしれないし。


 次に手芸店で布とレースとミシン糸とミシン2台を購入した。

 ここでも布やミシンが嵩張るからレンタカーが役に立つ。

 積み込んだ後は人目を避けた場所でこっそり魔法の風呂敷に突っ込むとスッキリ!!

 このパターンでティッシュ類やアレルギー鼻炎薬やら鎮痛剤やらも買い込む。


 100円ショップにも寄って、良さげなものを買い込む。

 魔法の風呂敷大活躍!!


 その後、美味しいハンバーガーショップに行き、ランチ。

 お土産のバーガーも買って魔法の風呂敷にいれる。


 その時、ちょうどスマホの通知音が鳴った。



『エスタ氏へ、大変急で申し訳ないのでござるが、今夜時間があったら推しのゲームのコラボをやってるカラオケボックスに付き合ってくれませぬか?』


 そんなメッセージが猿助さんから届いた。

 ま、いいか、せっかく日本に戻ってるし。


 夜になってカラオケボックスで猿助さんと合流した。



「エスタ氏ィ〜! どうも、温泉コラボ以来でござるな」

「そうだな」

「それでこのドリンクを推しのコースターが来るまで頼まないといけないのでござる」


「わりと苦行だな」

「エスタ氏の引き強を期待しまする。

 自分だけだとどうも物欲センサーが邪魔をするので」

「はは、よくある話だな」



 彼に頼まれてコースターやグッズのためにドリンクを頼みまくり、アニソンを歌ったり、ハニートースト、略してハニトーを食った。

 甘い!!


 予想はついていたがハニトーがかなり甘かったので完食が辛い!


「それでは国歌斉唱タイムでござる」


 国歌と言いつつそれはオタク内で言う、いつものエロゲの名曲であった。

 国歌を歌い終わった猿助さんがトイレに行った隙に、俺はハニトーを半分くらい切ってタッパーに詰めて魔法のカバンに入れた。


 カラオケボックスには監視カメラがあるらしいから、魔法の風呂敷よりカバンの方がごまかしが効く。

 入れてしまえば見えないからな。


 あっちに戻ったらミレナとジェラルドにあげよう、だいぶ甘いのでおっさんが一人で完食するのは無茶だった。



「なんとか推しのコースターが手に入りました! ありがとうでござる! そんでこれはお礼でござる」

「うん?」


 猿助さんがリュックからなにやら小さな袋を取り出した。



「エスタ氏、40センチクラスのドールをお持ちでしたよね、ドールイベントで買ったアクセでござる」

「へえ、今見ても?」

「はい」


「お、これは可愛いカチューシャだな、コースターのお礼にしては過分では?」


 作家のハンドメイド作品だと思われる。

 お花とフリルとレースがついてて可愛い。



「いいんでござる、拙者友達少ないし、プレゼントが出来る機会があって嬉しいので。

 それであのドールちゃんがそれ着けた写真でも上げてくだされば幸いでござるよ」


「わかったよ、ありがとう」


 ミラのことを知っていてくれてたんだな。

 SNSで写真を上げていた時に見たんだろう。






























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