第42話 襲って来た熊を食う
俺は突然の熊の出現にめちゃくちゃびびった。
とりあえず頼れる用心棒に礼を言う。
「ああ、びっくりしたなあ、ミラ、助かったよ、ありがとう」
「いいえ」
さて、殺してしまったからには食わないとな!
熊を。
とりあえずシンプルにステーキを焼いて、その間に圧力鍋で煮込むか。
「さあ、熊さんの赤身の肉ステーキを作るぞ」
「ショータ、お肉硬いと思うからなるべく薄く切ってね」
「ああ、了解」
「ショータこいつの味付けは塩コショウでいいのか?」
「うん、とりあえず初回はシンプルに」
キャンプ用のバーベキューセットでじゅーじゅーと熊肉を焼いていく。
「焼けたぞ」
「いただこう」
「……ちょっと硬いけど熊の油が甘くてわりといけるわ」
熊のステーキの他は、圧力鍋に舞茸と糸蒟蒻と生姜と熊肉を入れて醤油ベースの甘辛味で煮込んでみた。
熊肉の煮込みは思いの外美味しい仕上がりとなった。
熊は日本だと一頭分で28万くらいする高級な食材だった気がする。
熊を狙うのは危険だから高いんだろう。
そう考えればお得感ある。
「そうだ、まだ残ってる熊の油を薄くスライスして粗挽き岩塩と万能調味料をかけてみよう」
熊の白い脂でお刺し身みたいなものができた。
気温で溶けかけてもはや半透明。
まず俺が味見をしてみた。
「……舌の上で脂が溶けるな、甘い」
次にミレナが、
「脂ぁ!! って感じね」
雑な感想をくれた。
「脂だからな、まぁいける」
ジェラルドは今日もクール!
川の水をコップに掬おうとしてるジェラルドを見つけて俺は慌てて声を掛けた。
「あ、ごめん! 塩パンもレモン味の炭酸水もあるよ」
俺は熊肉料理に必死になっていて、出し忘れていたパンと飲み物を魔法の鞄から出した。
「シュワシュワしてて美味いな」
「美味しい、爽やかね」
熊肉をいただいて、ほぼ平らな場所を見つけてそれぞれテントを張った。
俺とジェラルドとミレナの分で三つ。
異世界の夏の夜空も綺麗だった。
しばしドールのミラを抱っこしたまま夜空を眺めて、それからテントに入った。
虫の声とたまに何かの獣の鳴き声と水音を聞きながら眠った。
翌朝、鳥の囀りで爽やかに目が冷めた。
「朝だ!! うなぎがかかってるか仕掛けを確認しよう!」
俺はテントから出て声を張った。
ついでに動画も撮ろう!
あとで動画サイトに投稿してみよう。
うまくいけば収益化できる。
エルフと狐っ子のうなぎ取り!
多分コスプレだと思われるけど、それでいい。
ドールのミラは、CG合成か何かだと思ってくれるだろう。多分。
ややしてジェラルドとミレナもテントから出て来た。
「おぉ~」
「ええ」
「はい、マスター」
カメラを回しつつ仕掛けを確認した。
そして結果発表!!
「ミラのにうなぎ、ジェラルドとミレナにナマズ、俺のが餌だけ消えていた!」
「と、言うことは」
「ミラの優勝だが、そう言えばミラはものが食えないからアイスじゃなくて新しい服を買ってあげよう」
「このシャツと短パンも買ってもらったばかりですが」
「女の子の着替なんて多ければ多いほどいいもんだろ」
「ショータ、ナマズでもとりあえずかかってたから、私は次点優勝じゃないの!? サイズもエルフのより大きいわよ!」
「まあ、そうだな、最初にダッ◯のアイスを一つ選ばせてあげよう」
ミレナはラムレーズンを選んだ。
大勝利で嬉しそうに食ってる。
「ジェラルド、俺達はパピ◯を食おう、半分こが出来るアイスだ」
「いいけど何味だ?」
「マスカット味だよ、これは美味いよ!」
「おお、確かに爽やかで美味しいな」
「だろ、これは美味しいやつだよ、お気に入り!」
「なんなの、貴方達、男同志で仲良く半分こなんかして」
「だってこれは半分こして食うアイスだから」
俺はそう説明したけど、
「ふん!」
ミレナは拗ねたようだ。
ダッ◯を提供したというのに。
ミラは今、日差しを避けてタープの下にいる。
そういやドールが日焼けしたらバラバラにして漂白剤に漬けるんじゃなかったか?
今動いてるドールにそんなことして大丈夫かな?
ちょっと心配だけどいざとなったらボティを換装してまた賢者の家にしばし置かせて貰えば大丈夫かな?
しかし顔はなぁ、魂が頭部に宿るならヘッドは仕方ないかな。
でもボディと顔で色味が変わると……違和感が。
……今心配しててもどうにもならないな。
どのみち暗いクローゼットの中よりもお外で綺麗な景色を見せてやった方がいい気がするから。
だって、今のミラには魂が宿ってるし。
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