想起から始める記憶術

 前回の話で。


①記銘(情報を取り入れること)

②保持(情報を保持すること)

③想起(情報を検索すること)


 を通して、人間は記憶すると語った。


 で、私は一つの推論を立てました。

『③想起』から始めてもいいんじゃないかなと。

 言わば。

 過去問や問題集から始める勉強法と同じ。


『Q江戸幕府五代目将軍は誰か?』


 この問題がわかる場合は、


『A 徳川綱吉』


 と答えればいいし。


 わからなかった場合は、


『へぇ〜。徳川綱吉なんだぁ〜』と思えばいい。『①記銘』をする必要はあっても、『②保持』をする必要はなくて。


 で、二回目からは。


『③想起』だけを繰り返せばいいと思うの。


「江戸幕府の5代目将軍は徳川綱吉」

「江戸幕府の5代目将軍は徳川綱吉」

「江戸幕府の5代目将軍は徳川綱吉」

「江戸幕府の5代目将軍は徳川綱吉」


 実際に何度も復唱したところで、数時間後か1週間後ぐらいには忘れてしまうだろう。

 それは、短期記憶の欠片でしかないから。


 なので。


 最初から『③想起』を行えば、『②保持』をする必要はないんじゃないかなと。


 テスト勉強の技術に近いけれど。

 従来の勉強方法は——。


①教科書を読み、重要な部分を知る

②重要な部分を何度も復唱して覚える

③テストで出てきたときに、想起する


 短期記憶→長期記憶を目指す方法である。


 しかし、想起から始める勉強方法は——。


①問題集を解く(想起する)

②想起できなかった部分を復習する(想起できるようにする)


 長期記憶を最初から目指す方法である。


 長期記憶することを目標にしているから、『②保持』をすっ飛ばして考えるわけである。


 自分が知らない情報は『①記銘』だけして、『③想起』だけやってればいい。


追記


 「③想起」が「②保持」を兼ねると思う。

 また、折角覚えたとしても、思い出せなければ、何の意味もありません。

 なので、最初から「③想起」を狙って、勉強を行えば楽になれるのではないかと思うわ。


 千葉栄一氏の『外国語上達法』に、こんな言葉が載っている。


「確実な五百語は不確実な二千語より、その言語を習得するのに有効である」と。


 これは私も痛感していて……。


 五択問題が出たとする。


 不確実な二千語を知っていても、五択から絞ることはできない。

 でも、確実な五百語を知っていれば、どれか一つか二つは選択肢を減らせるだろう。

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