第58話 爆音

Aは高笑いをしながらタバコを美味そうに吸っている。Bはただただオロオロするだけだった。そうこうしている内に、サイレンの音が聞こえてくる。

「A…笑ってる場合じゃないよ」

「B!お前の運転はあまいんだよ!乗れ!」

「A、運転できるの!?」

2人は再びバイクに乗り込んだ。パトカーがすぐそこまできている!

Aはアクセル全開にし、その場で跳ねた。飛び石のようにパトカーを潰して進み、そのままスピードを保持しながら進んでいった。

「すっすごい!」

「見たかぁ?まだまだ行けるぜ!」


――――


爆破物を拾い上げた爆破処理班は、爆弾解除に取り掛かっていた。掲示板には残り26分の表示がある。予断を許さなかった。ひとつケーブルを切るごとに深呼吸する。

無線から、

「まだ解除できないのか」

という無粋な音声が聞こえる。

「そんな簡単にはいきませんよ、どうぞ」

爆破処理班は作業に戻る。自然と汗が吹き出してくる。

「頼むぜぇ…」


――――


「犯人はドローンを回収された事を知った可能性がありますねぇ」

松島は真剣な顔で言った。

「やっぱりそう?」

冴島も素直に同調する。

「それでヤケになってバイクで暴走している、と」

「航空飛行隊は爆弾を乗せた飛行機以外は全部帰らせた方がよさそうね」

「そう、そして陸上自衛隊の数を増やしたい所ですね」

冴島は不敵な笑いが止まらなくなった。

「ふふ…これでやっと袋のネズミ状態にしたわ…待ってなさい!」


――――


「どこに向かってるの?」

BはAに大声で訪ねた。

「そうだな、どこに行っても警察がウヨウヨしてるなら…渋谷にでも行くか!」

バイクはそのスピードを落とさず渋谷へ向けて走り抜けた。

15分ほど走ると、大きな規模の検問が行われていた。

「どうする?」

「素直に並ぼう」

「免許証を見せて」

「こいつだ」

そう言ってAは拳銃を取り出し発砲した。撃たれた警官はそのまま後ろにどうと倒れた。騒がしくなったが気にせずそのままAは検問を通過し、猛スピードで駆け抜けていった。




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