第20話 そんなことある?

ある程度学校にある展示を見て回った後、良哉りょうやすぐるのシフト時間になった

すぐるは『お先に!』とだけ言って良哉りょうやを連れて走り去ってしまった


「それじゃあもう一個展示見たら行くかぁ」

「そうだね、それにしても一個一個の展示が中々凄いね」

「うん、中々面白い」


あぁ、それには単純な理由がある

結論から言うと大イベントが文化祭くらいなものだからみんな気合い入ってるんだ

因みに触れていなかったが、昨日俺が準備した教室。

俺らが帰った後に、実行委員が確認しに来たらしく、朝来た時には凄いクオリティーになったいた


「毎度のことだよ」

「毎度コレなのか・・・俺の学校の文化祭の5倍はクオリティー高いんだけど」

「私のとこも凄いのに、タカ来たことないでしょ?」

「うん、行きたいけど誘ってくれないじゃん」

「今度誘ったげる」

「え、俺は?」


なんか俺の知らない間にみっきーの学校の文化祭の話が進んでいる

俺も行かせてくれよ

駄目?


「だってケー男子校だし」

「どういう事だよ」

「け・い・す・け・くん!お疲れさまでしたー!」

「おーっとちょっと後で体育館裏の地下通路に来いよ?」

「いや、どこだよ!」


そんな場所は無い、ただのブラフだ

こんなしょうもないボケにまで突っ込んでくれてありがとう

そんな雑談をしていると、ミニゲーム部屋という所に着いた


「あ、これみて。成功したら景品もらえるって」

「え、どれどれ?おー!オリジナルシャーペンだって」

「シャーペンか、いいじゃん」


シャーペンとかどれだけあってもいいからな

いつでも使うし、デザインが良ければならば尚良い

勉強をしようとするたびにほっこりできる


「おー、ブラックジャックか」

「あ、やりますか?」


声を掛けられたし、面白そうだからやるか

俺とタカとみっきーはそれぞれ椅子に座って、ルールを聞く


ざっくりルールはこんな感じだ

・トランプを引いていき、最終的に合計点が21に近い方が勝利

・合計点21を超えるとバースト(アウト)

・『10、J、Q、K』は全て10と数えて、『A』は1点または11点と数える

・21点ピッタリの場合は勝ちが確定

・ディーラーは絶対に17以上にしなければならない


特殊ルールもあるみたいだが普通に分からないので勘弁してもらった

取り敢えずやってみようかな


「それじゃあ、2枚づつ配りますね」


ディーラー役の生徒が慣れた手つきでカードを目の前に置いていく

俺の前に置かれたカードは・・・3と5だ


「ではトランプを引くか引かないか決めてください」

「引きます!」

「はい、どうぞ」


置かれたカードは2だ

さっきからおかれるカード低くない?

流石にまだ引こう


「もう一枚ください」

「どうぞ」


置かれたカードはKだ

なかなかいいんじゃないか?合計点は20だろ?

もうやめておこうかな


「パスで」

「分かりました、高いですね~」


いいね、ルールも割と単純で分かりやすいな

何だっけ?ポーカーだっけ?

あれはルールというか、得点方法が分かりにくいけど


隣にいる2人も引き終わったようだ

あ、タカはバーストしてる。可哀そうに

みっきーは・・・19点か!なかなか悪くない数字


「では、勝負です」


そう言ってディーラーの生徒がカードを引いていく

俺らに勝つには21点じゃないと負けだからな、流石に勝てるだろう

ディーラーが次々にカードを引いていく


・・・お、引き終わったみたいだ


「3、7、5、2、4。ブラックジャック、私の勝利です」

「え、嘘。20なのに負けたんだけど!?」

「ひょえー、凄いな!俺はバーストしたのに」

「タカはもうちょっと慎重になんなよ」


うっそー、え???まじで???

絶対勝ったと思ったのに何で?


「残念でしたね、またの挑戦を待ってます」

「いやー、ありがとうございました!」


負けたのがどうしても悔しいからまた後ですぐる良哉りょうやを連れてくるか

さて、それじゃあ女装メイド喫茶行くかな

みっきーがきらきらした目でこっちを見てくるし


「なぁケー、良哉りょうやくんが女装するんだよな?」

「そだよ~」

「俺てっきり良哉りょうやくんああいうのやらないかと思ってたわ」

「私分かるよ、良哉りょうやくん絶対でしょ?」

「お、分かるんだ」

「イヤ分かんないよ?どういう事???」


タカが分からないそうだが、まあ見た方が早い

多分納得するはずだ

まあ俺も女装を見るのは初めてだが


「よし着いた、けど」

「凄い混んでるな」

「ちょうどお昼時だからじゃない?」


昨日メニューみたけど、昼ご飯にはならないよ?

誰でも作れるスイーツ系ばっかだから

お、席が空いたみたいだ


「いや、この教室作りこみ凄いね」

「俺が準備したんだぞ」

「え?こんなごっついくらい可愛い装飾をお前が?」

「うーん、半分ホントで半分ウソ」


教室の準備はしたが作ってはいないみたいな

もしも例えるとするならば

観葉植物を植える土を用意したみたいな、そんな感覚


・・・わっかりにくい例えだなぁ


「メニューは・・・お菓子だね」

「しかも、ラインナップの統一性皆無過ぎない?」


二人も俺と全く同じことを思ったのか、少し驚いているようだ

まぁ俺らは食べに来るのが本来の目的じゃないからな


「あ、キタ!」


その時、みっきーが小声ながらも若干黄色い声を上げた

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