第12話 私のこと忘れてない?

高校一年生内田美紀うちだみきはこの私です

今日は新大久保に食べ歩きに来ていた

理由は友達に誘われたから、あとチーズハッドグっていうものを食べに来た

流行に疎くて、もうブームはとっくに過ぎ去った頃にようやくお婆です


「みっきー?そんな顔してどうしたの」

「え、私の顔どうかなってる?」

「なんかゴブリンみたいな感じ」

「ぶっ飛ばすぞ」


おっといけないいけない

このアマが変なこと言うもんだからつい口が滑った

後で表出なさい


「それで、何考えてたのさ」

「心の中で独り言呟いてた」

「ゴブリンじゃん」

「ゴブリンは独り言言わないだろ、ゴブリンを舐めるな」

「怒るのそっちなんだ・・・」


どうも、ゴブリンを愛す者です。いや、この世の全てを愛す者です

慈愛に満ち溢れてるでしょ?この性格で大学言ったらモテモテのイケ女になるんだ

ケーとは違って私は一足先に彼氏を作るって決めてるんだから


「また変な顔してる」

「今度はどんな顔ですか、お母さん怒らないから言ってみなさい」

「彼氏を欲している女の顔」

「もしかして、知由ちゆ心読める?」

「読心術屋、やってます」

「変わってるな~」


そもそも読心術をやってないだろ

こんな私と同じくおかしなことを言う目の前の女は峰内知由みねうちちゆ

私が良く話す友達の一人だ


「変わってると言えばみっきーも変わってるじゃん」

「何が?」

「百合好きなのに、恋愛対象は男なとこ」

「いやだからそれは何度も説明しとるでしょう」


私が百合好きな理由、それは犬猫が好きな理由に近い

尊いんだよ、分かるか?可愛い生物が楽しそうなのが尊いの

でもな、犬猫と結婚したいか?そんなことない人が大半でしょ

そういう事だよ、分かるかね


「それに最近ショタコンになってきたし」

「違う!可愛い男の子が好きなだけでショタが好きなのではない!」

「そのアニメキャラのキーホルダーも百合に見せかけたショタ同士だし」

「うるさいうるさい!私がどんな趣味だっていいだろ!」

「まあいいけど、私も触手好きだし」

「あれの何が良いんだか・・・うねうねしててミミズ見たいじゃん」

「何おう!あれであんなことやこんなことされるのがいいんでしょうが!」


ワーワーギャーギャーと性癖について言い合う

女子校っていうのは気楽なもんで、男子がいないから猫を被る必要が無い

普通にR-18に話が隣で聞こえたりするし、そういう所は結構女子校の良いところ


共学に比べて楽なんだよね、単純に

体育祭うんどうかいも男子が居ないから皆全力だし、前髪とか気にしてる子あんま居ない

あと、百合が見れるし。あ、これ嘘じゃなくてほんとに百合あるからね?実物が


「もう帰るか、日も暮れてきたし」

「もうこんな時間?時の流れが早いね」

「たまにあるよね、『あれ?今日時間の流れ早くない?』ってとき」

「あるある、逆のパターンもあるし。『今日長すぎ』・・・みたいな」

「あーそっちもあるね」


それじゃあ帰りますか



ピコン


ん、なんかきた

ケーからだ


『タカに彼女が出来たらしい』


え、本当に?

嘘でしょ?え、いいな~

おめでとうって気持ちもあるけど、それより普通に驚きなんだけど

この前言ってた黒髪ロングの押したらいけそうな子かな?


『だから来週の日曜日集合な、確か予定なかったよな?』


いやなんで?接続詞多分違うよそれ

流石にそこで『だから・・・』って持ってくるのは強引過ぎない?

別に会うのは全然良いけど


素早く返答を返す


『何しに行くのか分からないけど、取り敢えずいいよ』

『何しに行くって、そりゃあもちろん問い詰めに行かないと』

『必死で草』

『なんだと~?みっきーは悔しくないのか?』

『悔しくはないね、私は大学行ったら彼氏できるから』

『確定条件なんだそれ』


当たり前でしょ、確定条件だよ。大学では猫被るから大丈夫

お母さんがそこそこ可愛く生んでくれたからいいのあとはちょっとお化粧すればOK

今は女子校だし、乳液くらいしか使ってないけど


「どうしたの?なんか来た?」

「あー友達が彼女出来たって」

「え!?いいな~!共学ズルい!あ、男子校の可能性も?」

「いや、共学で男女カップルだと思う」

「いいな~私も共学行きたかった・・・」


共学行きたかったって、何で女子校来たんだ

共学だったら知由ちゆが普段してるあんな話やこんな話、全部出来ないぞ

無言になるぞ


「ちょっと、やっぱり最後に何か買って帰らない?」

「良いよ、何買う?」

「え~じゃあヤンニョムチキン買お~」

「良いけど、何それ」

「まぁまぁ買ったら分かるから、甘辛チキンらしい。ほらそこ」


すぐ目の前にヤンニョムチキンが売っている店があった

2個パックを買って店を後にする

人通りのない所へ移動して、箱を開ける


「うわ・・・」

「あれ、みっきーこれあんまり好きじゃなさそう?」

「う~ん、なんていうか手で食べるのは汚い。お箸とか無いの?」

「あ~貰うの忘れた~」

「まぁトイレ近くにあるし、手が汚れたらそこで洗おう」


恐る恐るチキンを掴む、ぬめっとしていてあまり良い感触とは言い難い

匂いは・・・特に変な匂いはしない


「それじゃあいただきます」

「はい、いただきます」


一口齧る、うん、美味しい

暖かいチキン本体と濃い味付けが冷えた体にちょうど良い

最後食べるのにはなかなかいいセレクトをしたような気がする

丁度お花摘みたかった頃だし、手洗いもそんなに気にすることはない


「美味しいね、私今日食べた中で2番目に好き」

「1番は?」

「いや、決めてない」

「何でよ、じゃあ何故に2位?」

「いや~1位は決めかねるから、みんな2位にしちゃえ!って思って」

「普通は最高順位だけどレベルが同じだったら、同立1位っていうんだけどなぁ」


あ~美味しかった

それじゃあこんどこそ帰ろうかな

何気に来週の日曜日のケーとタカ達と合うのも楽しみだし


ピコン


『あ、因みにすぐる良哉りょうやも来るから。よろ』


え、マジで?

私ちょっと良哉りょうやくんのこと気になってるんだよな~

ちょっとだけおめかしして行こ

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