韓国グルメ旅

飛鳥 竜二

第1話 ソウル1日目(月曜日)

トラベル小説


 地元から韓国インチョンへ国際線が週4便飛んでいる。月曜の午後1時に飛び立った。傍らには妻が座っている。今回の韓国旅は妻のリクエストである。韓流ドラマの舞台を見てみたいということで、ソウルと慶州を回る1週間の旅である。

 水平飛行に入り、お弁当箱に入った機内食がでてきた。メインはプルコギだ。これなら辛さもないし、好き嫌いは少ない。辛いのが好きな人は添えられているコチジャンをかければいいのだが、周りの日本人はだれもしていなかった。

 2時間半で韓国に到着。沖縄に行くよりも近い。座席のモニターで映画を見ていたが、最後は早送りで見てしまった。

 インチョン空港は広い。自分の荷物を受け取るだけで10分ほど歩かされる。もっとも地元の空港が小さすぎるからそう思うのかもしれない。入国はスムーズだ。個人旅行でも帰国便の予約と泊まるホテルが泊まっていれば問題はない。それがないと不法滞在のおそれがあるので、別室に連れていかれるというのを聞いたことがある。

 空港ロビーに降りて、まず最初にいったのがTマニーカード売り場だ。日本でいうスイカカードみたいなものだ。このカード1枚で交通のほとんどがカバーされる。そこに2万円分の料金をチャージした。1週間分の交通費である。

 本当は高速鉄道のT-REXに乗った方がソウルに行くには速いのだが、ソウル駅で乗り換えたり、スーツケースを持って歩いたりすることを考えて、ホテルの目の前に到着する高速バスに乗ることにした。30分に1本程度の頻度でバスが出発している。高速道路では渋滞にはまり、2時間近くかかってしまったが、優等バスと言われる高級シートのバスで快適だった。もっともその分値段も高いが、明洞のホテル前に6時に着いた。荷物を部屋に置いて、夕食にでかけた。ホテルは明洞の入り口なので、近くの貝焼きの店「チョガビ」に向かった。本店に行くと満席だったが、終わりそうなテーブルがあったので、玄関前の腰掛けにすわって待つことにした。月曜日でこの込み具合だから人気店であることがよくわかる。支店も近くにあるのだが、そこの席が空いているとは限らないので、ここで待った方がいいと判断したのだ。すると10分ほどで席があき、中に案内された。

 前回は貝焼きを食べたので、今回は蒸し焼きを食べることにした、混んでいる時は、蒸し焼きの方が店にとってはいいみたいだった。貝焼きだと食べられるまでに何度もテーブルに来て、焼き具合のチェックをしなければならないが、蒸し焼きだとそのチェックが少ないからだ。前回の時にスタッフの対応で、それがわかった。できるまで、キムチをつまみに韓国ビールを飲んだ。「cass」という銘柄で、薄味のビールだ。韓国人はビールをお酒とは思っていないということを聞いたことがある。焼酎がふつうで、それにウィスキーやブランデーを入れて飲む「爆弾酒」を飲むということだ。見ているだけで酔っぱらう感じがした。

 20分ほどで、蒸し焼きができあがった。ホタテやカラス貝、ムール貝や名前の分からない貝が盛りだくさん。そこに小さ目の韓国アワビが追加されていた。どれもおいしく、お腹いっぱいになった。貝焼きもいいが、蒸し焼きの方が食べやすかった。

隣の座席に日本人がいて、お店のスタッフにクレームをつけていた。どうやら貝焼きのチェックをしていた時に、日本人の服に露がとんだみたいだ。そんなことでと思うことを言っているようだが、スタッフが謝らずに無視したのが気に入らないみたいだ。店長らしき人が出てきて、あやまっているようだった。でも、前回来た時も露がとぶことはあった。当たり前のようにあるのだと思う。韓国人は「ケンチャナヨ(問題ない)」ということをよく話す。細かいことにはこだわらない民族なのだと思う。日本人が細かいのかもしれない。

 次回来る時も、蒸し焼きを頼むと思う。二人で1万円は妥当な値段だと思う。

 9時にはホテル着。3つ星ホテルで大きくはないが、明洞の入り口にあるというのが最大のメリットだ。以前泊まった5つ星ホテルは、大きかったが明洞から歩かなければならないし、フロントには並ばなければならず、エレベータから部屋までは遠い。値段も高い上に、ベッドは3つ星も5つ星も大して変わらない。日本語を話すスタッフはいないが、トラベル英語が分かれば何も問題はない。セキュリティも宿泊客でなければ宿泊階にはエレベーターは止まらない。特に問題は感じなかった。

 1日目は、疲れはあったが、平穏無事で終わった。

 

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