仲間
それから次の日になり、マリンは少し気まずい空気のなか、朝食を食べた。
「それで今日はどうするの?」
重い空気を変えようと話題を振った。
「ふふふっ!今日はなんとダンジョンに潜るぞっ!」
アッシュが昨日とは打って変わって明るく言った。
「だ、ダンジョンですって!?」
はい!良いリアクションありがとう!
「マリンはダンジョンは初めて?あ、学園以外でね」
「いえ、ありますが。私が聞きたいのはどのランクのダンジョンに潜るのかと言うことです」
淡々と答えるマリンにアッシュとルビーの声がハモった。
「「ダンジョンに潜ったことがあるの!?」」
うぁっ!?びっくりしたなぁ!
「あるわよ。私の住んでいる領地にあるダンジョンに潜って修行していたからね」
「なるほど。だからルビーを追い詰めるほどの実力があったのか」
シオンが変わりに尋ねた。
「別にたいしたことはないからね?あなた達が踏破したA級ダンジョンと違うから?私はD級ダンジョンで安全に修行していたから」
この世界にはダンジョンの脅威により危険度がランク付けされている。S、A、B、C、D、Eのランクがある。
世間で騒がれているシオン達が攻略したダンジョンはAランクである。まだ未成年である少年少女が攻略したことで騒がれているのである。
「マリンは誰とダンジョンに潜ったんだ?」
「?私は1人で潜っていたけど?秘密で修行していたしね」
!?
「はぁっ!?1人で!!!バカなの?」
「マリン…………わたくし、初めて貴女を凄いと思いましたわ」
頭に手を置いて軽く首を振るルビーに、マリンが反論した。
「何よ!どうして私が可哀想な子みたいになっているのよっ!」
マリンは振り向いてシオン見ると、シオンも驚いた目でマリンをみていてヘコんだ。
「なによぉ~~」
シオンは深いため息を付いてマリンに言った。
「良く生きていたな。ダンジョンでは何が起こるかわからない。だからパーティーを組んで潜るのは常識になっている。仲間が怪我をして、別の仲間が回復したり、守ったり、助けを呼びに行ったりなどな。1人では足を怪我したら、脱出もできず終わりだぞ?」
そう言われると……………
自分はヒロインなんだから、心の何処かで死なないと思っていた所もあった。
そう思うと青ざめていった。
ここは現実の世界だとアッシュは言った。
怪我をすればそのまま死ぬのだ。
「ま、まぁ、これからは私達が居るんだし切り替えていきましょう」
真っ青になったマリンをルビーが擁護した。
「ところでマリンの潜っていたD級ダンジョンではどんな魔物が出たんだ?」
「下級の死霊系が多くでたわね。だから私の光魔法と相性が良かったのよ」
アッシュは少し首を傾げてシオンを見た。
「へぇ~珍しいな。どうする?今日の行く予定のダンジョンは肩慣らしつもりで、近くのD級ダンジョンに行くつもりだったけどランク1つ上げるか?」
「いやいや!さっきの話でいきなり高ランクのダンジョンは嫌よ!D級ダンジョンに行きましょう!」
マリンが手を上げて意見した。
(シオンの様に、死ぬ覚悟で強くなるとは思ってないからね)
マリンは、まだいきなりレベルの高いダンジョンに挑む度胸は無かった。
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