終結
ウオォォォォォォ!!!!
すっかり化物になったボルドーは雄叫びを上げながら、無限の体力ともいうべき動きでシオンに襲い掛かった。
その頃、ようやく観客を逃がした教師陣が集まった。
「教頭先生!あのボルドーの姿はまさか──」
担任教師のミント先生はネール教頭に詰め寄った。
「…………ええ、王宮から報告があった【魔人化】でしょう。まさかうちの生徒が魔人化するとは」
教頭は険しい顔で目の前のシオン達の戦闘に視線を動かした。
「すぐにシオン君に加勢します!」
ミント先生が観客席から飛び降りようとした時、止める人物がいた。
「なんのマネですか?」
いつもの温厚なミントではなく、恐ろしく鋭い目つきのミントが目の前の人物を視線で射抜いた。
「あれはシオンの戦いです。決着が着くまで見ていて下さい」
止めたのはアッシュだった。
「どきなさい。アレは1人で対処できる相手ではないわよ」
「いいえ、あの程度の相手ならシオン1人で十分です。僕達がダンジョンを攻略したのをお忘れですか?」
アッシュの落ち着いた様子に戸惑いを隠せないミントだったが、ネール教頭が後ろから口を挟んだ。
「いいでしょう。ここはシオン君に任せます。ただし、危険と判断した時は救助します。我々は生徒を守る義務があるのです。コルクとアイビー先生はミント先生と一緒に、いつでも助けに入れるよう準備していて下さい」
「「はっ!わかりました!」」
教師陣はシュッと四方に散った。
『教師と言うよりは軍人のような感じだね。ここの教師達が歴戦の冒険者とか言う噂は本当かもね』
アッシュも観客席の下で行われている戦闘を見守るのだった。
そんなシオンは何度も魔弾を撃ち込んでもビクともしない魔人ボルドーに苦戦していた。
「くっ、複合魔弾ならダメージは与える事ができるが、致命傷には程遠いか」
相乗効果で威力が何倍にもなる複合魔弾。
それでも動けなくなるダメージが与えられなかった。
何かないか!?
シオンは今までの経験と知識を思い起こしていた。
はっ!?
あれなら───
ドコッーーーーン!!!!
大振りの拳が会場の地面を割ると同時にシオンは新しい魔弾を作成した。
【青の魔弾を作成】
【魔弾装填】
【トリガーセット】
「青の魔弾!アクア・ショット!」
魔弾が魔人ボルドーの腹部に当たりそのまま吹き飛ばした。ドカンッと壁にぶつかり起き上がるのに少し時間が発生した。そのスキにシオンは次なる魔弾を作成した。
【黄の魔弾を作成】
【魔弾装填】
【トリガーセット】
「これでトドメだ!サンダー・バレット!」
一筋の雷光がボルドーに走ったかと思うと激しい閃光が発生して魔人ボルドーの身体を焼いた。
少しして、真っ黒に焼けたボルドーがフラフラッとよろめいてドシンッと倒れたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます