第56話 他の転生者ばなし 紙条 翼の場合



私、紙条しじょう つばさは女優をしていた、自分で言うのもなんだがかなりの売れっ子だった。


趣味のネットゲームや元々オタクだったこともありその手の仕事も舞い込んできてかなり忙しかった。


その日もテレビ局でゲームの情報番組に呼ばれていて撮影も無事に終わってマネージャーに車を出してもらい家に帰るところだった。


全て過去形なのは私がもうすでに死んでいるからだ。

神様のミスにより私は車やマネージャーと一緒に一瞬で死んでしまったのだ。


自分では死んだ感覚はないのだけどね、割りと落ち着いているのはよく読んでいたネット小説とかでわりかしある話だから、もちろんドラマより奇なりなので自分がこんな目に合うとは思ってなかったよ。


実はこれからの事は不安よりも楽しみの方が勝っている。

勿論ゲームや小説ではなく現実になるのだからしんどいことや危険なことがあると思う、でもそれ以上に楽しみなのだ。


生前の暮らしが不満だったことは無い、金銭面でも人間関係でもだ好きなゲームはやりたい放題だしグッズもなんでも買えたでも売れっ子になるにつれ自由が減ってきてはいた。


だからそれも含めて楽しみなのだ、神様からもお詫びと言うか向こうで生きていくために必要な力や物も貰った、いざ行かん異世界に!


ついた場所は街の近くの原っぱだった、何だかんだ有ったが街に着くことができた。


色々したいことや興味も有ったがとりあえずは冒険者登録をして色々していくつもりだ。


マネージャーのことも気になるしね。

あの人クールでかっこつけてるけど意外とどんくさいから、仕事では大変お世話になっていたし、プライベートでも付き合い有ったからね。


ゲームの仕事も取ってきてくれたし、なるべく私には自由にさせてくれてたしね。

出来ればこっちでも一緒にいたい。


そのためにもこっちで地盤を作らねばね、とりあえずは冒険者をしながらお金を稼ぎ、強くなるとしますか。



◇◇◇◇◇




前向きな者だったな、同じ生きていくならああではなくてはな。

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