2.5次元も好きなのです ☆
その昔、友達と舞台観劇に行こうと約束をしていました。
お芝居が大好きな友達、この舞台を観に行った後はこのレストランに行って、感想言い合おうね、と話してたんですが、チケットが取れなかったとかで、約束は流れました。
数年後、2.5次元ブームが到来。
好きなアニメや漫画がいくつか舞台化やミュージカル化されるようになり、何となくYouTubeにアップされてるゲネプロを見たら──声が違う! となりまして。
私、声オタなのです。
姿や振る舞いはそのキャラそのままなんですけど、声が違うことがちょっと受け入れられず、2.5次元とは距離をおいていたんですよ。
でも、距離を詰めたくなる出来事がありまして。
『文豪ストレイドッグス 黒の時代』の舞台化。
黒の時代の話が死ぬほど好きなんですよ。ハードボイルドな男達の友情。二度と戻らない時間。尊い。
アニメでも織田作こと織田作之助さんを演じた諏訪部順一さんのお芝居が最高で、特に、大切なものを失い慟哭するシーンは死ぬほど期待していた分、最高に、理想通りに演じていて、いつもティッシュ常備です。
そんな素敵な作品が、文スト2作目の舞台化。
2.5次元には手を出していないから、当然1作目は観ていない。それでも黒の時代はそれだけで完結しているから、ここから観ても問題はない。
でも、声違うしな。
そう思いながらも、舞台キャストさんのコメント動画をついつい見てしまったのは、その方が織田作の姿をしていたから。
誰だ、知らない人が織田作の姿をしている。
笑顔の素敵な人で、その人はこう言ったのです。
「僕もアニメ観て、泣いた一人なんで」
貴方もかっ! と前のめりになってしまいました。
ちょっと興味の出てきた黒本。
どうしよう行こうかな、でも一人で初舞台は緊張する……。
そこで、昔流れた約束を思い出し、友達に一緒に行かね? と連絡したらいーよーと返ってきて、初2.5次元を二人で観ることに。
当日、嬉しそうな友達。まだ観る前から劇場の空気にテンションが高まり、またこうやってこれからも観ていこうよと誘われました。
今回、黒の時代だから来たけど、他のか……と思いながら頷き、座席へ。
そして始まった舞台は──バー ルパンがそこにありました。太宰さんや織田作、それに安吾さんがそこにいた。
小説でもアニメでもない、でも確かに黒の時代の物語、休憩無しなのでのめり込む入り込む。
声の違いとか気にならない、知っているくせに先が気になって仕方ない。
特に、三人が最後に集まる場面での間が最高だった。言わないんです、言えないんです、言葉の続きを。それを言ったらもう終わりに続いてしまうから。
そして、慟哭するシーン。
ここが何より楽しみだった。
諏訪部さんは絞り出すように、絞り出すようにやっていましたが──舞台の織田作は叫びました。咆哮ってやつです。二階席最前列で食らい、腕がぶわっと粟立ちました。後にも先にもあんな経験はしたことない。
人の声ってなんて素晴らしいんだろうって感動した。
その時点ですっかり魅せられていたけれど、最後の最後、幕が降りるその前に、存在するなら観たかったものを観られたんです。
たとえば、織田作との約束を守っている太宰さんに、織田作は何て言うんだろうって。
その答えを、舞台は見せてくれました。
その説得力を、舞台上で織田作は──谷口賢志さんは作り上げてきました。
初観劇は号泣に終わりやした。
勢いのままに一作目の文ステ円盤買いましたし、谷口さんのお芝居もっと観たくて『ジョーカー・ゲーム』舞台版二作買いました(アニメ版も観たくなってbox買いました)。アマゾンズもその流れで。
これ以来、2.5次元に手を出すようになり、その友達と全部行ってます。円盤も買うようになりやした。
あの時、谷口さんの咆哮を聴いていなかったら、きっとこうはならなかったと思います。
酒好きの熱い男、谷口さん。
これからもお芝居を観ていきたいです。
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