「気配・城・フライ」

You can fly?①

 古城に潜り込んだときから、得体のしれない「何か」の気配を感じていた。


フライ!飛んで!


 ふと、脳に直接話しかけるように、声が聞こえた。


 ここから?


 バルコニーの眼下には、そこの見えない絶壁。


 鬱蒼とする木々たちに飲み込まれたら、二度とここへは戻れない気がする。


 それでも?



フライ!飛んで!



 女の声は、乞うように、

 もう一度、男を誘った。




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