追放されたハズレ職【遊び人】が異世界最強 ~ゲーム世界に転生したので、前世知識を活かして最強冒険者を目指す~

蒼月浩二

第1話:異世界転生

「ユート、お前を追放する!」


 え……?


 俺の名前は遠藤悠人。


 気が付くと、ここは教会の中だった。


 目の前には、外人風のおっさんと18歳くらいの若い男。二人は親子なのだろうか。


 状況が何も呑み込めない。


 というのも、俺はどうやら『Different World Project』――通称DWPというゲームの世界に転生してしまったようなのだ。ゲームをしていて記憶が途切れたと思ったら、この状況だった。


「このサンプドワール家の面汚しが! 何が『遊び人』だ! ハズレ職なんぞ授かりやがって! 長男のくせに代々続いてきた我が名家の顔に泥を塗りやがって!」


 俺が長男? ということは、目の前のこいつは俺の父親で、隣の男は俺の弟なのか。


 それにしても『遊び人』がハズレ職だと……?


 このおっさんは何を言ってるんだ? 『遊び人』は最強職だったはずだ。


「まあまあ、リカルドさん落ち着いてください。職業の儀においてハズレが出ることはままありますから……」


 神父が興奮したリカルドを宥める。


 しかし、リカルドはその手を振り払った。


「ガリウスも何か言ってやれ。兄とはなばかりのゴミにな」


「いや、別に俺は……」


「言えっ!」


「わ、わかったよ。アニキは……ゴミだ」


「ふん、よくできたな。さすがは我が自慢の息子。……そして、さすがは『剣豪』だな」


 『剣豪』といえば、『剣士』の上位職に当たるかなり強い職業だ。それにしても、いきなり高位職を授かることもあるのか。


 などと思っていると。


「さあ出ていけ! 二度とその面を見せるな!」


 と、言い訳をする暇もないまま教会を追い出されてしまった。


 ◇


 教会の外に出ると、ゲームでは始まりの町にあたる『イートンタウン』の光景が広がっていた。


 中世ヨーロッパ風の街並みが広がっており、異世界に来たんだなあと感動する。


 町で露店などを見て相場を確認すると、概ね1ジュエル=1円となっている。


 日本円と同じ感覚で考えて良さそうだ。


 さて、どうするか。


 俺は前世ではDWPをかなりやりこんでいたため、この世界についてはかなり詳しい。


 職業は最強職である『賢者』を引き当てたので、上手くやれば大きく金を稼げる。


「一発大金稼いで、ニートにでもなってスローライフがしたいな」


 そう考えた俺は、ひとまず金を稼げる冒険者になることにした。


 ◇


 魔物を求めて、サボって昼寝している門番を横切って町の外へ。


 『イートン草原』。


 イートンタウンの西門から出てすぐのこの場所は草原になっており、初心者プレーヤーが最初にレベル上げをする場所として人気が高かった。


 ここ周辺は最弱の魔物であるスライムしか基本的には出現しない。


「まずはスキルだな」


 俺はスキルツリーをイメージして、今すぐ取得できるスキルを確認する。


 ――――――――――――――――――――

 ◇スキルツリー

 ・レベル1で習得可能

 『火球』:条件なし

 『水球』:条件なし

 『風球』:条件なし

 『地球』:条件なし

 『聖球』:条件なし

 『闇球』:条件なし

 

 ・レベル2で習得可能


 ・レベル3で習得可能


 ・レベル4で習得可能


 ・レベル5で習得可能


 ………

 ……

 …

 ――――――――――――――――――――


 現在取得できるスキルは6種類。


 取得するには、スキルごとにスキルポイントを1消費する。


 この基本スキルはすべて必要なので、合計で6消費してすべてを習得した。


 ――――――――――――――――――――

 ◇ステータス

 職業:遊び人

 レベル:1

 スキルポイント:4


 攻撃力:10

 防御力:10

 攻撃速度:10

 敏捷性:10

 移動速度:10

 魔法攻撃力:10

 魔法抵抗力:10

 魔法発動速度:10


 スキル

 ◆攻撃魔法

 『火球』Lv.1

 『水球』Lv.1

 『風球』Lv.1

 『地球』Lv.1

 『聖球』Lv.1

 『闇球』Lv.1

 ――――――――――――――――――――

 

 よし、これで魔物と戦える。


 俺は近くにいたスライム目掛けて、『火球』を放つ。


 三発ほどで倒すことができた。


 ――――――――――――――――――――

 レベルアップしました! Lv.1→2

             スキルポイント4→14

 ――――――――――――――――――――


 ゲームと同様に、レベルが1上がるごとにスキルポイントが10もらえるようだ。


 スキルツリーを確認する。


 ――――――――――――――――――――

 ◇スキルツリー

 ・習得済み

 『火球』:Lv.1

 『水球』:Lv.1

 『風球』:Lv.1

 『地球』:Lv.1

 『聖球』:Lv.1

 『闇球』:Lv.1

 

 ・レベル2で習得可能

 『魔力探知』:条件なし

 『隠密』:条件なし

 『スティール』:条件なし

 『スキル再使用時間短縮』:条件なし

 『スキル発動速度上昇』:条件なし

 『視力強化』:条件なし

 『焦点補正』:条件なし

 『初級ヒール』:条件なし

 『火属性強化』:条件なし

 『水属性強化』:条件なし

 『地属性強化』:条件なし

 『風属性強化』:条件なし

 『聖属性強化』:条件なし

 『闇属性強化』:条件なし


 ・レベル3で習得可能


 ・レベル4で習得可能


 ・レベル5で習得可能


 ・レベル6で習得可能


 ………

 ……

 …

 ――――――――――――――――――――


 『遊び人』は、様々な職業のスキルをすべて習得することができる。


 ゆえに、『盗賊』しか習得できない『魔力探知』、『隠密』、『スティール』や、回復術師しか習得できない『初期ヒール』などもすべてごちゃ混ぜで獲得できるのだ。


 おかげでスキル通しの組み合わせがシナジーを発揮して本職よりも強くなる事態が時折発生する。


 これこそが、『遊び人』が総合力で最強な理由だ。


 今回習得するスキルは全部で10個。


 『魔力探知』、『隠密』、『スキル再使用時間短縮』、『スキル発動速度向上』、『火属性強化』、『水属性強化』、『地属性強化』、『風属性強化』、『聖属性強化』、『闇属性強化』。


 更に、既に習得済みの『火球』と『風球』のスキルレベルを両方2に上げておく。


 なお、スキルレベルアップにもスキルポイントを消費する。


 今回レベル1→2にかかったのはそれぞれ2。


 これで残スキルポイントはすっからかんになった。


 とはいえ、スライムを相手にするだけなら、『火球』Lv.2だけでもオーバーキルだったりする。


 ドオオオオンンンッッ!!


 火力が上がった火球により、さっきは三発かかっていたスライムを一発で仕留めることができた。


 俺はこの調子でどんどんスライムを倒していき、レベル5になった。


 必要経験値量に対して得られる経験値は一定なため、もうスライムを相手にしても効率が悪い。


 俺は、イートタウンに戻ることにした。

 




 

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