第114話

 校長の長めの話が終わり、生活課の先生が毎度恒例の休暇中の過ごし方について注意をしはじめる。


 多くの生徒がお尻を浮かせはじめたあたりでようやく話が終わったかと思うとまた別の先生による諸連絡。


 ようやく解散の命令が下され、大人しく教室に戻ろうとすると後ろから誰かに抱きつかれる。


「…なに?」


 ひなではないのは確か。思い当たるのは1人だけ。


 私は冷たくも単調に返す。体育座りで疲れが出た腰が少し痛む。


「ねー!クリスマスパーティしようよ!」


 案の定相手は鈴木。


「パス。先約あり」

「えぇ?!こ、恋人…?」


 深追いしてくる鈴木を軽やかに無視しつつ、教室へ向かう。こういうのは構わないのが吉。




「ねぇー!日向ちゃん!みんなでクリスマスパーティしよ!」


 終業式と帰りのSHRが終わったところで鈴木は早速ひなにも声をかけている。


 ひなは困ったような顔で申し訳なさそうに断っていた。それはそうだ。私との先約があるのだから。


「えぇ〜日向ちゃんもかぁ〜」

「うん。毎年家族で過ごしてるの」


 やだ、ひなったらもう家族扱いだなんて少し気が早いんじゃない?まぁ私はいつだって心の準備ができてるから家族扱いだって満更でもないんだけど。




「あやちゃん、今年は1日遅れでクリスマスデート、なんてどうかな?」


 ………どうやらあの考えは私の驕りだったようだ。


 話によると本当にひなは家族とクリスマスを過ごすらしい。よく考えればイブにひなと遊びに出たことはあってもクリスマス本番に一緒になったことはない。


 …先に確認しておくべきだったな。


「…いいね。そうしよう」


 私は焦りが顔に出ないように気をつけながらひなの提案を笑顔で受け入れる。


 しかし、そうなると少し計画に狂いが出る。


 なんせ今年は仲の良い両親に『これを機に二人でお出かけすれば?』と言って家に二人きりになれるようにしておいたのだ。


 これ幸い、旅行好きな両親なので旅行に行くらしいから26日も両親は家にいない。26日に改めて家に誘おう。


 となるとイブはもとよりみづきたちと4人で過ごす予定があったが、本番の日は家に一人になる。


「……ぼっち?」


 いや、全然平気なんだけどね?本当に

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