第90話
体育祭というイベントが終われば何が起こるか。そう、文化祭だ。学園祭とも言うだろう。
イベント続きで心労が耐えないが、飲食系の店を出すのは3年生だけという決まりがあるので、わたしたちのクラスは展示をすることになっている。
何をするのかはクラスの中心人物たちが決めていたのでよく分かってはいないが、テーマが確か……『星座』だったかな?
12星座それぞれの班に別れてそれぞれが決められたブースにその星座を表現して展示するというのが大体の内容だったと思う。
まぁ12もあるのだからそこまでブースも大きくはないし、班員も3、4人と少ない。
もちろん私の所属する班はひなと紫苑がいるのだが、なぜか鈴木さんもいる。確か鈴木さんのグループは4人だったし、こちらに来る必要はあったのだろうか?
「あぁ私?私のいつメン、めっちゃ絵上手い人とかいるし大丈夫だよ!それにそっち帰宅部と新聞部でしょ?私は美術部だったし、力になれるでしょ?」
鈴木さんは下手くそなウインクをしながらアピールしてくる。ひなも紫苑も問題はなさそうだから良いけど。
「鈴木さんって美術部だったんだ?」
「あー今は野球部のマネ!美術部は最初入ってたんだけど、一ヶ月で退部した!」
元気よく言い放つ鈴木さんに盛大な苦笑いを送るひなと紫苑。
「そ、そういえばひなさんも絵上手いですよね!」
「え?そ、そんなことないよ〜趣味程度だし」
「そうなの?!じゃあ絵書く時は私と浜崎さんが担当だね!」
確かにひなは絵が上手い。
たまに自主勉強したというノートを見せてもらうことがあるのだが、隅に可愛らしいキャラクターが描かれているものがあり、本人は少し恥ずかしがっているが、誇るべき才能だ。
「てか!そう、制作についてだよ!私星座詳しくないんだけど!」
「それならひなが詳しい。解説できるぐらい」
「え?そうなの?!リーダーじゃん!」
ひなは突然リーダーに指名されたことに驚いているが、嫌ではなさそうだ。
私達が担当するのはしし座。ひなの誕生日が含まれる星座である。
そのためか、ひなもしし座に関する知識が頭に入っていたのかスムーズに方向性が決まっていく。他の班と比べてもスピーディに進んでいるだろう。
また忙しくなるなと思いながらもリーダーとして張り切っているひなを眺めながら、私も役に立たなければならないな、と心を奮い立たせた。
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