第34話
僕のクラン『アイドルプロジェクト』は魔族との戦争をすると明言している。
そのせいか、クランメンバーを募ってもなかなか加入希望者が現れなかった。
しかし、加入希望者が現れたと冒険者ギルドから通知が来たので、今日面談をする事になった。
希望者は3人で、うち二人はコンビで活動していたそこそこ名の通った冒険者。
もう一人は無名の魔法使いらしい。
アサギと共に応接室で待っていると、ドアがノックされアゲハが3人を中へ通した。
そして、早速能力を拝見させて貰う。
一人目、赤い髪で背の高い筋肉質な女性。
名前はベラルーシで能力は身体能力C魔法能力Lか。
人族でこれほど身体能力の高い人は初めてだ。
背中に大きな斧を背負っている。
二人目、青い髪をした小柄な女性。
名前はレナで身体能力M魔法能力C。
服装からしていかにもな感じの魔法使いで大きな杖を持っている。
三人目、普通の村娘って感じで髪の色は真っ白。
名前はリリィで身体能力J魔法能力K。
武器などは持っていないみたいだ。
コンビを組んでいるのはベラルーシとレナで、リリィが無名の魔法使い。
リリィは戦闘経験は無いらしいけど、アイドルに憧れてやって来たと言っている。
「僕のクランは、戦闘もするしアイドル活動もする。
ベラルーシとレナは戦闘は大丈夫だと思うけど、アイドル活動の方はやれそう?」
「坊ちゃん、あたいはこんな
戦闘要員として加入しに来たんだ。
それじゃ駄目なのかい?」
「私も……歌、唄えないから」
「そうかな?
二人共磨けば光ると思うよ。
始めは誰だって
試しにやってみる。
そんな感じで挑戦してみない?」
「本気で言ってんのかい?
まー少しやるくらいなら試してもいいけどさ……」
「ベラがやるなら私も……ちょっとだけ」
「わかった。
それじゃあ僕は君達をプロデュースする。
リリィは逆にアイドル志望だったね。
戦闘経験はないって言ってたけど、戦えそうなのかな?」
「アイドルになれるなら、やれます!」
リリィも能力自体は高いし、戦闘なら経験を詰んで伸ばせば大丈夫そうだ。
そう言う訳で、三人共契約書にサインをしてもらった。
ベラルーシとレナは年齢が30代だったし、だいたい18歳くらいの年齢になってもらった。
リリィは元々そのくらいの歳なので年齢の変化は行わない
付与する能力とマスコットはそれぞれと相談して決める。
ベラルーシは戦闘に特化したいらしく、身体能力強化、それとマスコットに視覚共有の能力を持たせた。
さっそくマスコットの視覚共有を使って「おー見える見える」と言いながらレナのローブの下からマスコットで覗き込んで喜んでいた。
レナも同様に戦闘能力に特化したいと言ったので、魔法範囲増加と魔力補給のマスコットを着けた。
リリィはアイドル活動を中心にやりたいみたいだけど、僕自身がアイドルなわけじゃないし、リリィの戦闘経験も無い事から剣術の能力を付与して、マスコットには入れ替わりの能力を持たせた。
入れ替わりの能力はマスコットとリリィの場所を瞬時に入れ替わる能力で、瞬間移動みたいな使い方も出来る。
三人の部屋の用意などをアサギに任せ、僕は三人を連れて部屋を出た。
庭でアイリスとセシリアが居たので新しくアイドルになった三人を紹介する。
「アイリスとセシリアに頼みたい事があるんだけどいいかな?」
「どうしたのだ?」
「ベラルーシとレナはアイドル活動に自信がないみたいだから、二人に色々と教えてあげて欲しい」
アイリスとセシリアは喜んで引き受けてくれる。
特にアイリスは師匠になったとはしゃいで喜んでいた。
ベラルーシはアイリスの頭を撫でながら「宜しくな、師匠」と好意的な態度だったけど、レナは「よろしく」と冷たく発しただけだった。
ちょっと不安だけど、二人の事は二人に任せ、リリィを連れてマリルゥの元へと向かい、リリィを紹介する。
「そういうわけで、リリィの事を頼めるかな?」
「私剣術なんて分からないわよ?」
「剣術の能力を付与してるから経験さえ詰めれば戦える様になると思うし、少し鍛えればダンジョンでも大丈夫なはずだよ」
「わかったわ。
宜しくね、リリィ」
「はい! 宜しくお願いします!」
三人共能力は高いし、お披露目する日の事を考えると楽しい気持ちになってくる。
ベラルーシとレナは自身無さそうだったし、少しお披露目には時間が掛かるかな?
元々アイドル志望のリリィならすぐライブも出来そうだし、とりあえず今は様子見かな。
アイドルが増えたお陰か、僕に新たな能力が芽生えた。
本来であればライブをする為には僕とアイドルが同時にスキルを使ってステージ召喚を行わなければならない。
しかし、新たな能力でグループを作る事が出来る。
そして、リーダーを指名する事でグループが揃った状態であればアイドル達だけでステージを召喚する事が出来る様になった。
グループに関してはもう少し考慮していきたいと思っているし、また今度だな。
そして、一週間が経つ。
現在、僕の部屋にはアイリスとセシリア、そしてマリルゥが来ている。
三人共あまり機嫌のいい様子では無い。
なんだか嫌な予感がする。
「プロデューサー!
あれはムリだ! ベラはアイドルにはなれない!」
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