船頭探偵 水守天馬の冒険
五速 梁
第1話 メアリーの残像 序章
光る海と空、溢れんばかりの生命のきらめきが、私を包んでいた。
私は母に抱かれ、幸福にまどろんでいた。愛情と、陽射しと、何億もの生命を育んできたこの星の鼓動が、私をゆりかごのように揺すっていた。
だが、すべてを奪う忌まわしい響きは、足元から突然、やってきた。
ぎしぎしという不吉な音が聞こえたかと思うと、急に空と海とが反転した。
母の血を吐くような叫び、私はきつく抱きしめられ、恐怖に目を閉じた。
――ママ、パパ!
大きく強い父、暖かく優しい母。小さな身体から迸る叫びに、応える声はなかった。
次の瞬間、世界が壊れるような衝撃と共に、私は冷たい闇の中へと投げ出された。
あの日、運命の凶暴な爪によって、幸福な日々は永遠に引き裂かれてしまったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます