陰キャな俺の初恋相手の妹が、学年一の美少女になっていた。それでも、俺からしたらそれだけだ。
@sirahama0407
幼馴染との再会
今日は4月8日。俺こと
その声は聞き馴染みのある声であったと共にすごく懐かしい響きを含んだ声であった。
「あれ? もしかして.........悠くん?」
「えっ.........彩花?」
「やっぱり! 久しぶりだね!」
「本当に彩花.........なのか?」
「それ以外の誰に見えんのよ! もう!」
そう言って頬を膨らませるのは俺の幼馴染の
俺が彼女が本当に彩花なのか疑問に思ったのは久しぶりの再会という理由だけではなく、端的に言うと可愛くなっていた。いや、可愛くなり過ぎているのだ。周りからの視線を集め、『あの子めっちゃ可愛いな』
などと言う声が聞こえてくるほどだ。その本人は反応にも慣れているのか一切動じた様子はない。
そして、何を隠そう。彼女は俺の初恋の相手である
「いや、久しぶりだったから一応.........な?」
「確かに3年ぶりだもんねぇ。どう? 可愛くなったでしょ?」
「ん? まぁ、そうだな」
「ふふん。悠くんはあまり変わってないね!」
「人間そうそう変わるもんでも無いんだぞ?」
「可愛くない.........」
「俺は男だからな」
「もう! 3年前はもっと可愛かったよ!」
そう言って俺の肩をペチペチと叩いてくるあたり、変わったのは外見だけで中身はまるで変わっていないようにも感じる。小学生の頃も俺がおちょくったりすると、こうして肩をペチペチと叩かれたものだ。
それでも、昔と今では全然違う。彩花は紛れもなく美少女となっているので俺にとっては幼馴染.........ましてや、初恋相手の妹だといってもドキドキしてしまうわけで.........なんていうのは全くない。
確かに、彩花は可愛くなった。それは認めよう。でも、それだけだ。中学生時代にあらゆる陰キャスキルを極めた俺にとってはこの程度で動じるわけなどあるはずもないのだ。ちなみにどのくらい極めていたのかと言うと、班活動をする際なんかにはすぐに声を掛けて貰えるくらいには極めていた。意味が分からないって? 簡単な話だ。俺がいてもいなくても変わらない人間だから、人数を埋めるだけの要因としては完璧なのだ。陰キャを極めすぎると、声が掛からないどころか声が掛かりまくる人気者になれるのだ。
そのレベルまで陰キャを極めた俺としては、いくら彩花が可愛くなっていて、肩を叩くなどのボディータッチを含むスキンシップを取ってこようと俺は何も思うことは無いのだ。強いて言うなら周りの視線だけが辛い。陰キャを極めているが故に周りからの視線には人一倍敏感なのだ。
「はいはい。早く行かないと入学式から遅刻になるぞ?」
「むぅ........話を逸らした」
「彩花は何組なんだ?」
「私は1組だよ。悠くんは?」
「俺も1組だ」
「おぉ! 一緒だね!」
「みたいだな」
「ふふ。お姉ちゃんもびっくりするだろうなぁ」
「奈菜さんが?」
「うん! お姉ちゃんも明宝高校だからね!」
この会話の中で俺の陰キャを極めた者としての勘が警鐘を鳴らしていた。そして、この予感は間違いなく当たるという確信もあった。そう……俺の高校生活は陰キャとして平穏に送ることには難しすぎるのかもしれないと。
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