第18話「降り立つ」

一千の言葉も

今夜だけは聞けもしない

辺り一面は真っ赤で

通行人は面白がるようにツイートする


生きていたその子が

死んでいっても無関係だと

誰もが粗雑に扱う


一切の躊躇なく

根底には悪意ではなく

本人の弱さが適用力が

ないとされ


ニュース番組はせめて

道徳的に振る舞っていた


生きていた事

死んでいく事

その両者に彼女は悲しんでいたはずなのに

その思いを汲み取ることもせず

墓にはナイフが置かれた


死別した家族と友人

生きてさえいれば可能性はあったと

それでも悲しみが上回ったと

その痛みに気づけず

支えれなかったと


泣いて泣いて泣いて

呼吸が吐瀉物に変わる


もう僕も死んで

君を探そうと

そう感情が振り切れたが


死ねずじまいの臆病で

墓に立っては

君が舞い降りるのを待つ事しか

出来なかった

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