第8話「存在表明」

結果的に人はいつか死ぬだろう

その万物の法則は

神域でさえ凌駕出来ない

表面的概略と

稚拙的な侵犯


脳は至って脆弱で

ことの顛末を理解するには

命はあまりに短い


2000年越しの発見も

一夜に消え


呪具を持つ事で

存在価値に抗った


仮初のバイブル

着色するピエロ


全ては人の念が生み出し

存在表明に心を埋める手立てに過ぎず

いづれ抹消される


このまま消える定めならと

生に執着したが

幸せだと偽造した所で

心は昏倒していき


社会に搾取される時間と

残った残機が釣り合う事はない


心を研ぐように

日々に精をだすが

それさえ億劫になり

死ぬ方が楽だと

呼吸を遠ざけ


やがては全てに別れを告げて

一人になる事を好む


それが命のあり方そのものであり

死ぬ意味であったと


大人になってやっと知った

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