記憶

@tanezu

第1話

「ねーちゃん。どこだよ。どこ行っちゃったんだ。また、置いてかれた。なんで。うわー。あー」


うわー。はあ。はあ。


「目覚めたか?」


「根岸くん?ぼくは?」


「ずっと寝ていたようだよ。悪い夢を見てたようだね?」


夢というか、記憶。それまでもあった。置いてかれそうで待っててくれたり、ねーちゃんと言っても、血は繋がってない。ぼくはその人をねーちゃんと呼んでた。


「俊太、ねーちゃんは遠くに行くの。俊太はここにいるの」


「なんで?なんで置いてくの?」


「お引越しするの。また、会えるよ。きっと」


「なんで、やだ」


そういう記憶。

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