表現と体裁の天秤 ⦇大長⦈
こんにちは、たてごと♪ です。
人へ向かって「バカ」と言うほうがバカなら、人へ向かって「天才」と言う人は天才じゃないですか、やったあ天才ってこんな簡単になれるんですね。
……はい(
前回に、漫画の事について触れたわけですが。
触れたっていうか、ふつうに
あー、うん、ダメっすね。
いったん
まあまあ、『精神病は作られてるって?』の節で、軽々しく文句出すなや、みたいな事は語りましたけれども。
文句言ったのが将来を
ただ、先日に某イチロー氏()が〝後続に対して先輩が文句を言えない「
あんま文句言わなすぎてもやっぱり、将来を
特に、一定の作法がすでに確立されてる分野ではね。
とはいえ、
どうしてそんな事になってるかって、〝料理には文句をつけるものではない〟という教育が、
そりゃあ文句を出さないようにすれば、そのぶん改善の動機だって弱まるでしょうよ。
つまり文句を
難しいものですねえ
というわけで漫画についてちょっと、思うところと言いますか、苦情と言いますか、そんな感じのものを語ってみようかと思います。
あっちなみにこの文章、〝まんがの書き方〟の
いろいろ的外れなこと言ってるかもしれませんので、あらかじめご了承を。
そういや関係ないですが、現在イングランドではブレックファーストに「うどん」が
ソーセージやベーコン、スクランブルエッグなどの付け合わせに丁度いいらしいです。
確かに合いそうですね。
†
で、さて。
最近の漫画の「
昔から有るタイプの漫画とは、一線を画してはいますよね。
それを〝革新〟とか〝多様性〟のくくりで
ただどうも、いろいろと目についてしまう、って言いますか。
なんか、
◦ 見づらい
んですよ。
常態的にコマぶち抜いてて、非常に
余談ゆえに手書きが
無理詰めした
読み仮名のない常用外漢字、
質感なく平面に見えてしまう
平行すぎでコマ線に
外見が似通ってて区別つかない
被写体迷子の
足りない余白、境界が
視覚に違和をもたらす左右ページ無区別、左右ページで
有用な固有長所が皆無なうえ、
これ……端的に言って、「やりたい放題やりすぎ」じゃないですか。
もっと言うなら、「整理がされてない」。
文章作品で
……おいそんなヒドい例よく思いついたな
え? いやいやいや?
これ、昔にやった事がある、とかじゃないですからね?
本当の本当に、いま思いついたやつですからね?
ウソじゃないですよゼッタイですよ?
頼みますよ後生ですよ信じてくださいよ!
無実ですからーっ‼
……なぜだ、なぜ信じてもらえないんだ……なんで
†
ヤッパリ矢張()、〝昔の時点でそうなっていたもの〟って、もちろん「何らかの都合で制限を受けてた」ってのも有るでしょうけども。
それ以上に、
◦ 「そうすべきじゃないからやってなかった」
っていうのが、多分に有ると思うんですよ。
なのに、あえてそこを
最近だと、既作コミックのカラー化がされたり、あるいは最初からカラー原稿のものが出てたりしますけれども。
そんな事より、提示方法そのものをきちんと整理しとかないと、着色によってさらなる
「フィルムコミック」という、アニメのセル画をそのまま紙面にしたタイプもありますが、あれ何か〝コレジャナイ〟感ありません?
よく出来てると思うカラーコミックの色付けって、基本的に水彩やパステルのような淡色仕上げだし、全面塗りというような事もあまりやってない。
目立たせたいアイテム以外は、だいたい主張を抑えた感じになってるんですよ。
たぶん「目に見えるもの」ではなく、「頭で考えたこと」で構図を決めちゃうから、ゴチャアッとした事になっちゃうのかなあ、と思うんですが。
似たような失敗は、作曲でもやらかすものでして。
「耳に聴こえるもの」ではなく「頭で考えたこと」で構成してしまうと、目新しさやらギミックやらの、リスナー置き去りなポイントばかりに注力してしまって、肝心の聴こえの良し悪しはそっちのけ、みたいな結果になったりします。
実は音楽業界だと、『
これってたぶん合成音声そのものよりも、それを多用してる
†
思うに、最近の漫画の作者さんってなんというか、漫画とは何かをそもそも知らないんじゃないすかね。
というのは昔から、
◦ 〝漫画は「絵画」ではなく「記号」〟
と申しまして。
だから漫画は、「描く」のでなく「書く」のだと。
それゆえ、いくら「表現は自由」とはいえ、越えてはいけない線も有るのだと。
……いやそんな境地にサクッと
漫画ってストーリーを追うタイプの作品なわけですから、読者の興味もやっぱりストーリー主体になります。
そのせいで「ストーリーを追いやすい」、すなわち「スラスラ読める」という事がどうしても重要になってくるので、鑑賞に時間を掛けることで味をかみしめる絵画とは、やっぱり違うんですよ。
そのために、
だから「常識では考えづらい
非現実的だと突つかれがちな、「ピンク髪」などにもそんな理由が有るもので、そういう部分を差し置いてまでリアリティを出しちゃあかんのですよ、漫画。
あ、余談ですがこの辺の事情って、文章作品でのキャラづくりや舞台づくりでも共通するところと思いますが、どうでしょ。
つまりさっきの
リアリティよりも、道路と建物がちゃんと識別できることが課題になる、と。
これが漫画での〝越えてはいけない線〟で、ここ越えられると読者が簡単に道に迷います。
何が表現されてるのか
それを理解しないまま、イラストのつもりで漫画制作に着手してしまうと、「絵は上手だけど漫画はド下手くそ」という結果が出てしまう、と。
よく有りませんか、
そのせいでストーリー追い
読み飛ばされる漫画には、読み飛ばされるだけの理由が有るってわけです。
ちなみに、文章作品に関しては事情がちょうど逆で、この失敗をやらかしたのが純文学、それを改善したのがライトノベルだと思ってます。
売上を見てみれば一目
いかにも純文学な長編書いてる奴が何言ってんだ、って感じでしょうけども()、それは
そういうやり方について〝
◦ マジで「
んで、やるなら覚悟が必要わよ。
ほか音楽でも、まあ
エンターテイメントとしてはそういうの、失敗の部類なんじゃないかなあ。
楽曲としてはまったく単純な事しかやってない『
というか、漫画ってアイテムの識別性こそが肝要なわけで、それさえクリアできてればむしろ、作画のほうがクオリティ問わないもんです。
そこは本当に地図と同じですよ。
現に四コマ漫画なんて、ミミズののたくったような作画でも、ちゃんと成立してるじゃないですか。
いや、あれはあれで、簡素な部品だけで識別をさせるっていう技術要るんですがね。
好例としては、人気タイトル『カイジ』シリーズ。
これも
でも
この次どうなるんだろうっていう感情を上手に
そして根本、
◦ 人は結局、人が大好き
という性質もまた有ったりしまして。
なので、「この次どうなるんだ」という感情は基本的に、人物に対して発生しやすい。
つまり、登場人物に対して執着させることができれば創作はだいたい成功するんですが、要は漫画とは、人物像などによって物語を表現するもの。
すなわち〝演劇〟なのであって、昔の時代には「劇画」とも呼ばれたわけです。
†
余談ですが、「 人は結局、人が大好き」だからこそ、人の実像が直接見える実写ドラマが、創作
次いで、作り物ではあるものの人の像と声が一応登場するアニメ、それから人の像が視認できる漫画、あるいはイラスト、と続きます。
前者ほどに制作コストはかさむものですが、それでなお制作する価値がある、ってわけですね。
舞台演劇については、そもそも鑑賞にこぎつける自体がハードル高いって点と、演目が限られてるって点で事情が特殊なので、割愛。
それらに比べると、文章作品って文字しか並べられませんから、創作
そして真打ち、音楽って作品内に人が介在できる余地がほとんど有りませんで、さらに輪をかけて不利な創作
実は
◦ 音楽が好きで音楽を聴いている人は少ない
んじゃないかって
実際にも、決まったアーティストの曲しか聴かないって人が、大半なんじゃないですかね。
あっども。
ボカロPのアカウントはこちらでございますトホホ……(
そういう感じなので、たとえば♡や☆などの評価を数でかぞえよう、ってとき。
それが文章作品や音楽作品である場合には、「1つ付いてるだけでもかなり
高望みしても、失望が待ってるだけですからね。
†
そんなわけで「漫画=イラスト」という認識だと、表現の幅がせばまる、って事も有りまして。
演劇なんですから当然、そこには動きが有るわけで。
そこへ例えば、一つのコマ内に同一人物をいくつも描写する、というのが漫画特有の表現で。
そうやって異なるポーズを取らせるなどして、「多種あるいは継続的な動きをしている」のような意味の「記号」を、提示していくわけですね。
一方でイラストは、基本的に一枚の絵で完結するもので、つまり情景のとある瞬間を切り取った静止画に、基本なるもの。
だから同じ絵の中で、一つの被写体を複数回登場させるのは、ちょっと難しい。
かといって、単一の像で動きを表現しようとすれば、尋常でないレベルの画力が要求される。
これが不足すると「動作的に不自然な像」が、ぼろぼろ乱発されてしまうわけですね。
……いやまあ実際に動きを描ききってる怪物作家さんもいらっしゃいますが……普通はできないんですよそんな事……。
それでも結局、「イラスト=一枚絵」なのに対して、「漫画=演劇」。
なので、画力だけではどうしても
たとえば、「音」「電波」などの目に見えないものは、実像を提示する絵画としては、表現のしようが有りません。
それを解決するために編み出された手法が「像の記号化」なのであって、これを極めつくしてきたのが「従来の漫画スタイル」だというわけです。
この追究の結果、絵画として評価すると〝とんでもない〟ような表現が、みられるようになりました。
まあこれこそが昔、ずっと漫画がバカにされ続けてた理由なんですけども、よくぞ耐えてきてくれましたよ歴代の漫画家さんたち。
そういう流れで、感情表現までをも記号化したのが、「
で、これらって逆説的ながら、「頭で考えたこと」じゃあなくって、「目に見えるもの」の
なぜかって、怒りや
像とは表面しか表現し得ないものですが、すべての人物が素直に内面を表へ出すわけではないですしね。
もちろん人によってはその判断に失敗しますから、つまり「像を提示しただけではきちんと伝わらない」っていう可能性が有るわけです。
完全に同一の像ですら、知り得ている背景情報によって解釈がまったく異なってくるので、絵画に固執するかぎりは絶対に、この問題は解消できません。
漫画的表現に慣れてしまった
あれって記号がそこに含まれていないせいで、意味を
それをどうにかしたくて記号化なんて事を、すなわち「必要な情報」を視覚的に目立たせてそれ以外を
「
そんな感じに
◦ 内面を直接視認させる
って、そこまで高い伝達力が有るんですよ。
すると今度は怒りの像を、あまり綿密に描かなくても済むようになる。
それによって制作速度が向上するほか、静止画だけで演劇を表現しきるような、怪物じみた高い画力を習得せずとも済むようにすら、なるわけですね。
つまり「読み書きが簡単になる」という機能を持つのが、記号の特色。
たとえば多くのキャラ絵においては「鼻が無いも同然」ですが、これは目と口だけ有れば「表情を表現する記号」として十分成立するために、鼻が「不要な情報」として
中国語における簡体字(〔愛→爱〕など)とかでも同じ事なんですが、つまりこれこそが、よく聴かれる
◦ 「
というもの。
言い換えればそれは、「造形をより見やすいように整理する」って事で。
そもそも物語を表現したいなら文章作品で十分なはずで、なのになぜ「漫画」というものが作られるようになったのか。
すべては「見やすさ」「読みやすさ」「
また、鼻などの省略記号を逆に綿密に描くことで、
そういう、種々の有用な手法を捨ておかれるのは、まあ非常にもったいない事だと思いますし、かつ退屈な事でもあるんじゃないでしょうか。
昔の時代のセンパイたちが「何を書いていないか」を見るだけで、漫画はより見やすくできる。
そう思うんですが、今の時代だとそんな研究って、
†
とまあ、少なくとも
だからコマの全体像の
3秒以上かかれば「超ツライ」。
5秒以上ともなると「なにこの苦行」なんですよ。
そんな感じで、とにかく
でもこれって、個々の表現がどうこうってよりは、
◦ 今までの漫画はこういう「文法」だったよ
◦ 最近の漫画からは「文法」と思える要素が欠落し始めてるよ
って話だったりするんですよね。
文法ってやっぱり、伝わりやすくするための物であって。
いや、
もちろん、同好の士が集まってやる「同人」とかでなら、それは本当に好きずきでいいと思うんです。
新しい物なんて、すべてが混ぜ
でも「商業」でそういう事やられると、ちょっと納得いかない。
「同人」のような
あるいは〝今の時代での漫画はこういうものなのだ〟って主張もあるんでしょうけど、それだったら
「そういうタイプの漫画は
だからこそ、そういう部分で指導をするのが、「編集」の仕事なのではないのかと。
問題点をはらんだまま作品が世に出るのをくい止める、「最後の
「もう見るのもウンザリだ」って思わせられるコミックスなんて、
そういう物ばっか出してたら求心力が、ひいては売上が、ふつうに落ちませんか。
商業的判断、どこに有るんですかね。
いやあもう、〝アンタんとこのが売れてるのは、先行の出版社が
〝それゼロになったとたん漫画業界自体が
こうまで
漫画だけじゃなくて文章作品のほうでも、
〝
そういう
はあ……たくあんと緑茶が必要……(?
まあまあ、売れるっていうのは、買う人がいるからなので。
「これは
たぶんプロの
何だかんだ、出版社に「No」を突きつけるには、買わないのが一番でしょうからね。
その上でなお売れてるようなら、見込みアリって思う人も少なからずいる、って事ですし。
それもいいでしょう。
ただまあ、応援のつもりで作者買いとかしてみても、その出版社での悪習に依存しちゃったりして「かえって応援にならない」って事も、有るかもしれませんよ。
今はよくても未来の後続はそれで大丈夫なの? っていう
新興出版社に対する投資、って考え方はアリかもですけど、でもそんな事してる金銭的
一方で
ああいった所じゃあ、キャラ像とかを
まあつまり、「十分な記号化が達成できてない」ってわけでしょう。
そんなこんなで、〝売上のためなら作家の気持ちなんか平気で踏みつぶされる人外魔境〟だの何だのと、
そもそもプロ活動って売上を出してナンボなんじゃないの、って思いますし。
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