第6話 +

千川に覆い被さる体勢で、夢中で舌を絡める。どちらとも言えない吐息と水音が小さく響いている。

「……んぁ」

千川の口の端からこぼれたそれさえもったいなくて、舐めとってはキスを繰り返していた。

(……やっぱりこいつ、甘くて美味しい。もっと欲しくなる)

酸素を求め、一瞬唇を離し、千川を見る。千川も肩で息をしつつ、その顔は恍惚としていた。

「っはぁ……どうしたの?もういいの?」

キスという名の食事で体温が上がった千川の首筋にはうっすら汗が浮かんでいる。

(こっちも美味しそう)

千川の首元に顔を近づけ、甘噛みしては舐めた。

「ちょっ……!!!」さっきまでの挑発的な態度から一変、急な刺激に千川は思わず声を上げた。しかし、それもだんだん快感に変わったのか、甘い声が漏れる。

「んっ、はぁ……あ、お、やま、くすぐったい……」

(こっちも美味しいけど、唾液のが濃い……)

また噛み付くように舌を絡める。

(ん、やっぱりこっちのが濃い、さっきした時よりも濃く感じる。はあ、美味しい……っ)

「ふぁ……っんぁ」

深い深い口づけを受け入れるしかなくなっている千川。

どれくらい続いていたのか、それは昼休みの終わりを告げるチャイムで現実へと引き戻される。

二人とも息を切らし、その間には銀の糸が引いていた。

「またここで」

そう笑って、青山を小突くと千川は制服を整えて、教室へと戻っていった。

自分も戻ろうとその場を立つも、さっきまでの高揚感と満足感、そして、千川の表情や声が頭に響いて、心臓が強く脈打っていた。

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