第4話

「あまり期待はできないが……一応、聞いてやろう。どんな話だ?」


「現代日本をモチーフにした、ドラクエ風の冒険ファンタジーだよ!」


「着眼点はいいな。で、どんな内容だ?」


「まずね、主人公は生命保険に加入しているの。で、魔物に倒されて死んだら、保険金がおりるの」


「ずいぶん現実的なファンタジーだな……」


「あとね、宿屋で一泊してもHPが全回復しなくて、前日の疲れが残っているの」


「そんなリアリティ、いらない……」


「ボス戦での疲労は、2日後くらいにくるの」


「遅れてくる筋肉痛みたいだな」


「でね、回復のポーションを飲むんだけど、毎日飲んでいるとだんだん効かなくなるの」


「だから! そんなリアリティいらないって!」


「レベルアップすると、新しい呪文を覚えるの」


「それはいいと思うぞ」


「でもね、だんだんもの覚えが悪くなっていくから、低レベルの時の方がたくさん覚えられるの」


「なんだか、受験勉強みたいだな……」


「主人公は、旅の中で出会った人から、アイテムを探してくれとか、敵を倒してくれとか、いろいろなことを頼まれるの」


「RPG あるあるの『おつかい』だな。で?」


「主人公は、こう答えるの。『可能な限り善処します』とか『上司に相談してみます』って」


「……確かに、和製だ」


「あとね、クラスチェンジもできるの」


「なんだか嫌な予感がする」


「主人公、年を取りすぎて転職先がなかなか見つからないの」


「……」


「小説家にクラスチェンジしよう思って転職の神殿に行くと、神官様に『いつまでもそんな夢見てないで今のジョブをしっかりやりなさい』って説教されるの」


「その言葉、そっくりお前に返してやるよ」


「え~? 私は絶対に小説家にクラスチェンジするんだから!」


「無理無理」


「そんな~! 私ってぜったい小説家になれると思うんだけどな」


「どうしてそうなるんだよ? おまえは小説家になんてなれるわけがない!」


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