第8話
月の光に照らされて、
石の城壁からのぞく、
飾られた1本のトライデントが
光り輝いていた。
心が邪悪で恐ろしい悪魔ベリアルは、
大きな窓の外を眺めていた。
牛のようにツノが長く、
横に大きく体が広がっている。
爪は細長く、武器のように
尖っていた。
黒いローブを羽織っている。
肩には真っ黒いカラスがとまっている。
「捕まえたのか。」
扉のそばでは、膝をつき、
手を床に頭を下げたゴブリンが
指示を待っていた。
「はっ。もちろんです。
仰せの通りに。」
「ここに連れて来い。
後は私が後始末をする。」
「承知いたしました。」
ゴブリンは、魔法を使い、
瞬間移動をした。
ベリアルは、テーブルに置いていた。
血のように真っ赤なワインを
口に含んだ。
一方その頃のフィンレーたちは、
鞘から剣を引き抜いていた。
フィンレーは、レイピアと鉄の盾
スカーレットは、グレードソードと鉄の盾を装備していた。
黒ずくめの男たちに担がれた
ソフィアの前に多数のモンスターが出現した。
小さなゴブリン2体と
ミノタウルス3体に
囲まれた。
こちら側の先制攻撃だ。
まずはゴブリン2体にそれぞれ
剣を振りかざした。
何も抵抗する間もなく、砂のように
消えていく。
「次々、攻撃するぞ。
ソフィアがそのまま
連れて行かれる!」
「わかった。
魔法を使ってもいいから
ガツガツに攻めろ!」
「りょーかい!
任せろ。」
フィンレーは、1度剣を鞘に戻して、
盾を背中に乗せた。
両手を丸く合わせて、
念じて、気を込めた。
風が強く、フィンレーの周りに
巻き起こる。
石畳の足元には魔法陣が青白く描かれた。
『ファイヤーストーム!!』
炎魔法を残っているミノタウルス
3体全員に攻撃した。
まずまずのダメージを与えることが
できた。
次はミノタウルスたちのターンとなる。
フィンレーは慌てて、
盾と剣の準備をした。
大きな足音を立てて、
こちらに向かってくる。
剣と剣のぶつかり合いが始まる。
戦いに夢中になっていたフィンレーと
スカーレットは、
ソフィアが近くにいないことに
気づかなかった。
担いでいた男たちは、
時間稼ぎだと先々に前へと進んでいた。
ソフィア本人も目覚めていない。
「ちくしょー。
思ってた以上にこいつら
力強い!」
「弱音を吐くな。
戦いに専念しろ!」
「ああ!?
そんなの分かってるって!
ファイヤーソード!!」
剣に炎魔法エネルギーをまとわせて、
攻撃を仕掛けた。
手応えはある。
やっと1体のミノタウルスを倒した。
「スカーレット!
そっちは任せたぞ!」
「何を言う!
2体同時に倒せるか?!」
『ファイヤートルネード!!』
スカーレットの返事を待たずに、
フィンレーは魔法を唱える。
見事にミノタウルスに大ダメージを
与えて倒すことができた。
フィンレーとスカーレットは
かすり傷を負った。
戦いを終えて、回復魔法で、
傷を癒した。
「これくらいで済んで良かったな。
あれ、なんか目的忘れてる…。」
「ソフィア!!」
顔に指をさし、2人同時に叫んだ。
「本来の目的、忘れるなって。
追いかけるぞ!」
「そっちこそ。
街の外に向かっていったんだ。
フィールドに出たと思う。」
「マップ出すぞ。
確かに試験マップも赤くなってる。
モンスターが増えたってことか?」
腕のアクセサリーのリストのボタンを
押すと、透明なディスプレイを起動した。
「早く行くよ!
さらに見失ったら、助けられない!」
2人は草原フィールドに足を進めた。
遠くの方で黒い影が見える。
「よかった。よし、行こう。」
安堵しながら、駆け出した。
2人の背中ではかちゃかちゃと
武器が鳴っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます