第2話 ドソキホーテにて。
「ドソキホーテ、初めて来ましたっ! すごい品揃えですっ!!」
「……そうですか……」
どうしてこうなった?
俺は今、一之宮さんとクリスマスイブの日にドソキホーテに来ている。
いや、俺が悪いのだ。
口は災いの元と言うが、こんなに早く災いが来るなんて誰が想像するのだろうか。
だがしかし、クリスマスイブに美少女と居るというだけで非モテ弱者男性としては救いなのかもしれない……きっと。
「たしか、性夜の正拳突きスレでは上半身がサンタ服で下はホットパンツ、でしたわよね?」
「……あの、ほんとにやるんですか?」
「えっ?! やりませんの?!」
いやほんと、どうしてこうなった?
「そもそも一之宮さん、一之宮さんは性夜の正拳突きをする資格が無いんです」
「……ど、どうして、でしょうか……?」
そんな泣きそうな顔で近付かないで下さい死んでしまいます……
童貞に至近距離の美少女は致死量だと思うんです。
「い、一之宮さんはリア充だからです」
「リア充……
「は、はい」
「人は人では? 陰とか陽とか、誰しもそういう部分はあると思いますが……」
「い、一之宮さんには彼氏とか居そうじゃないですか? だからダメです」
「彼氏とかいませんよ?」
「と、友達とか多そうですし」
「仲良くさせて頂いている方々はいますが、そもそも多いという定義は曖昧だと思うのです。100人出来るか、という問いについて考えてみれば、私は友達が少ない部類に該当するかと思いますし」
……ダメだ、一之宮さんは無自覚陽キャだ。
この手のタイプは自分が恵まれている事を自覚していないタイプであり、純粋な人である。
ある意味1番厄介と言ってもいい。
「じゃ、じゃあ一之宮さんは世のカップルたちに向けて「死ね! 死ね! リア充死ねっ!」と叫びながら正拳突きができるんですか?」
「そのワードは流石に酷すぎるので、
「……そう、ですか……」
なんだろうか、負けた気がした。
ドソキホーテの店内で俺は膝を付いた。
なんかもう、どうとでもなれ。
「今からそれをやるとして、スレ立てとかするんですか?」
「VIPな方々曰く、半年ロムれ、なので、私はまだスレ立てをする事ができません」
「いや別にそんなにしっかりロムらなくていいから!」
なんでそういうとこ律儀なんだよ……
「寿司安価スレとかでも、動画見てやってみた人とかいるし、別にスレ立てしてもいいんじゃないですかね?」
「寿司安価スレ!! あれも楽しそうですよねっ!」
「お、おう……」
俺の中での「一之宮杏香」はもっとスマートで優美な印象だった。だが今はどうだろうか?
キラキラした瞳がなんの皮肉か、ネットのゴミとも言われたりいいヤツらだとか色々言われている掲示板のネタたちに影響を受けてキラキラしているとかんがえると、なんか世の中の大人たちを恨んでもいい気がする。
一之宮杏香お嬢様を穢したねらーたちの罪は重い。
「山田さんっ。見てください! 似合ってますか?!」
天井を仰いでいた俺を他所に、いつの間にか着替えていた一之宮さんを見て俺はvipperたちに感謝した。
実質ミニスカサンタな一之宮さん。
いやまあミニスカではないのだが、瑞々しい一之宮さんの太ももは直視出来ない。
ぶっちゃけこれだけでヌける気がした。
「……まあ、良いと思う、ます」
「そうですよねっ。はいではこれ、山田さんの分です」
「え? あ? はい?」
もう少しだけ、一之宮さんの太ももを目に焼き付けたかった……
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