民
今日も、さすらいの民は祈った。
「雨よ降れ」
またしても、甘いパンが降ってきた。
ある民は不平を漏らした。
「いつもいつも甘いパンばかりでは……」
神にその声は届いたようだった。
* * *
明くる日、降ってきたパンは、とても辛かった。
一部の民は喜んだが、一部の民は不平を漏らした。
「俺好みの味ではない」
さらに、ある民はこぼした。
「パンばかりでは喉が渇く。神よ!
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