第33話 熱海旅行2

俺たちはしばらく休憩したあと、志歩の指差していた方へと向かった。


近くへ行くと、ス◯ラのジェットパックみたいなのに乗った人が海上で飛んでいた。


「何これ!面白そう!」


「やってみる?」


「ヴヴヴヴ…バッシャーン」


そう話した瞬間、ジェットパックに乗っている人が凄まじい音を立てて海に落下した。


「乗れる気がしないんだけど」


「大丈夫!やりに行こ!」


最悪落っこちても下は水なので、暴走して陸地飛び出ない限り怪我はしないし大丈夫か。


早速受付に行きお金を払うと、インストラクターの方にレクチャーしてもらうことになった。


「じゃあ最初兄ちゃんが乗ってみるか」


「いきなり!?」


さっき操作方法を教えてもらってばかりでコツも何も分からない。


「がんばれ〜」


しかし志歩が可愛い声援を送ってくれたので不安が消し飛んだ。


我ながら男って単純だなと思った。


船に乗り陸地から少し離れたところに行った。


「じゃー水出すぞーー!」


その瞬間俺の体は一気に空中に浮き上がった。


そしてその次の瞬間、俺は海へとダイブしていた。


浮いた時間は約2秒。


「難しすぎないか?」


海にプカーと浮かびながらこれ以外の言葉が出てこなかった。


バランス能力と体幹。


この2つがないと乗れたものではない。


「あははははは〜」


志歩が遠くで笑っている。


「まあそう凹むな。みんな最初はこんなもんだから」


「じゃあ次は姉ちゃんが乗ってみるか」


「マジでバランス力必要だから頑張れよ」


「私のバランス力舐めないでくださいよ〜」


そう言って自信満々で船に乗り込んでいった。


陸地から少し離れたところに着いて、海へと入った。


そして空中へと飛び上がた。


しかし次の瞬間海に落下ーー


とはならなかった。


「ブルブルするぅぅ〜」」


めっちゃ楽しそうに飛んでいた。


志歩はそのまま5分程浮いて海へと墜落した。


「楽しかった〜」


志歩は海から浮き上がってそう言った。


「あんたの彼女さんすげえな。初めてであんなに飛べる人初めて見たよ」


「……やっぱそうなんですね」


志歩を彼女と言われるのに慣れていなかったので反応に遅れてしまった。


「彼女さんダンスかなにかスポーツでもやってるの?凄い体幹だけど」


「ダンスをやってると思います〜」


アイドルだし踊っているだろうから嘘にはならないはず。


「ゆーくんはこのあと乗れるまで練習する?」


「志歩はいいのか?」


「私は乗れちゃったからゆーくんがやりたいだけやっていいよ」


「じゃあお言葉に甘えてやらせてもらうわ」


乗れなかったのが悔しいので結構マジで練習した。


1時間後……


「やっと乗れた〜〜」


俺は力尽きてベンチに横たわっていた。


志歩程長くは乗れないが3分くらいは乗れるようになった。


「ゆーくんおつかれ〜」


そのまま俺の頭を持ち上げて膝枕をしてきた。


「公衆の面前ではやめて!?」


「ふふふ〜」


俺が悲鳴を上げているが当の志歩は満足気な顔をしていた。


「見てるこっちが当てられちまうよ」


インストラクターの人が生暖かい目をこちらへ向けてどこかへ行ってしまった。


他でやってた人たちもこちらを見ていた。


起き上がろうと思ったが志歩の幸せそうな顔を見ると、抵抗する気が湧かなくなってしまい俺は全力で羞恥に耐えるのであった。



後書き


Happy Halloween!


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