第16話 色々危ないお出かけ 午後

「でっか」


併設されている遊園地に入った俺たちはアトラクションの多さに圧倒されていた。


普通にそこらの遊園地と対して変わらない…何ならそれ以上の規模なんじゃなかろうか?


当然、志歩は大興奮だった。


「このジェットコースター乗りたい〜!」


そう言って指をさしたのは何かすごい複雑なコースをしているジェットコースターだった。


「え…ちょっとこれは…」


俺が渋るのには理由がある。


それは俺が高所恐怖症持ちだということだ。


ジェットコースターを乗るのにおいて致命的な欠点である。


あと内臓が浮くような感覚がすごい苦手。


「怖いの?」


しかしニヤつきながらそう聞いてきて、俺はよく分からない対抗心を燃やしてしまった。


「いや?怖くなんかないけど?」


「じゃあ、レッツゴー!」


割と並んでいたが10分くらいで順番が回ってきた。


「ガシャンガシャンガシャン」


「…………」


乗った地点からすでに高くて怖い。


そして俺を誘った志歩はというと


「う、うわー!楽しみだなー!」


楽しそうにしていた。


でも少し顔が引き攣っている気がするのは気のせいだろうか?


ついに目の前が開けて頂上に到達し、滑降し始めた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


俺も悲鳴をあげたが、志歩もえげつない声量で悲鳴をあげた。


安全バーを必死に抑えて泣きそうな顔になっていた。


志歩の胸が安全バーに押しつぶされて大変なことになっていた気がするが見なかったことにしよう。


(ジェットコースター大丈夫じゃなかったの?)


あんなことを言っておきながら、俺より怖がってないる。


とはいえ俺もジェットコースターは苦手だ。


他人の心配をする余裕などない。


俺も必死で安全バーを抑えていた。


ジェットコースターから降りたあと志歩と俺は疲れ切っていた。


「ジェットコースター大丈夫じゃなかったの…?」


「………」


どうやら虚勢を張っていたらしい。


(俺たちは何のためにジェットコースターに乗ったんだ…)


2人で並んで恐怖体験をして疲れ切って終わり。


強いて言うなら俺が志歩の潰れた胸を見れたことくらいだ。


しかし10分ほど休んで志歩は復活したらしく元気を取り戻していた。


そのまま俺は志歩にいろんな所に連れていかれた。


観覧車とか空中ブランコに乗った。


俺は空中ブランコでも高所恐怖症を発動してしまい悲鳴をあげていた。


志歩は空中ブランコは大丈夫らしく笑って楽しんでいた。


(ジェットコースターがダメで空中ブランコが大丈夫なのなんで?)


そして回り終わった頃にはもう午後6時くらいだった。


「そろそろ時間的に帰りたいけどどうする?」


「じゃあ、最後お化け屋敷行きたい!」


そうして指差したお化け屋敷にはなんか見覚えがあった。


(あれ..?これめっちゃ怖いってテレビとかで紹介されていたやつでは?)


志歩は知っているのだろうか?


「志歩?ここめっちゃ怖いらしいけど大丈夫?」


「子供じゃないし!大丈夫!!」


その強気な態度が余計に俺を不安にさせた。


そのまま志歩は意気揚々とお化け屋敷へと俺を引きずって入って行った。


しかし初っ端からお化けが天井から出てきて志歩は悲鳴をあげて俺にしがみついてきた。


俺はまだ驚かされる系に抵抗があるから良いが、志歩は全くないようだ。


(何故それでお化け屋敷に入ろうと思ったんだか…)


お化けが出てくる度に悲鳴をあげて強くしがみ着いてくるから前が見えないわ、耳は痛いわ、胸が当たるわで俺は大変なことになっていた。


そしてお化け屋敷から出た頃には志歩は叫び疲れ、俺は別ベクトルで疲れていた。


「時間遅いし帰ろうか」


「うん…」


楽しかったが2人ともそれ以上に疲れていた。


「楽しかったね〜〜」


「うん。俺も初めてきたけどもう一回来て見たい」


電車の中でのんびりそんなこと話していた。


しばらくすると


「すーすー」


隣で可愛いらしい寝息をたてて寝てしまった。


「まもなくー京葉〜京葉〜」


「志歩〜起きろ〜」


俺は軽く志歩の肩を揺すった。


しかし起きる気配が全くない。


何度も肩を揺すったがそのまま駅に着いてしまった。


(俺が持ち上げるしかないか…)


幸い志歩の体は軽かったから俺でも簡単に持ち上げることが出来た。


ただ体勢の問題でお姫様抱っこになってしまっていて周りからめっちゃ見られた。


そのまま改札を抜けようと思ったが普通に無理なので、ホームに入ってから志歩を強めに揺すって起こし、やっとのことで家に帰ったのであった。



後書き


スクロールする片手間に応援と評価していただけると作者のモチベーションが上がるのでよろしくお願いします!









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る