142話、実食マジックメタルスライム


完全に食べ切れるサイズの魔物で、食べる意味のあるくらい有用な、そして罪悪感が少ない魔物。


「メタスラちゃんが一番……え、メタルって食べられるのかな。食べるというか飲むというか?」


まあ、スキルオーブを使ってから考えよう。魔物吸収があればそういう魔物を食べられるようになる、のかもしれないし。


「スキルオーブ使用! ……うん、なるほど?」


やっぱり、これでどんな魔物でも食べられるようになったようだ。毒があっても、実体が無くても食べられるぽい。しかし味はそのままだから、不味いのは覚悟しないといけない。

さて、さっそくだけど。


「連れてきてよかったな、メタスラ。……よし、いただきます」


いつも連れ歩いているメタスラを、そのまま手で掬って、飲む。


「う、血の味する! ……いや、鉄の味かな。ていうか魔鉄も鉄と同じ味するんだ」


雑学を入手した。魔鉄は鉄と同じ味。なににも有効活用出来そうにない。

そんなことより、効果は。


「お、おう、おおう。すげ。気持ち悪い」


全身が液状化できる。なんというか、人間辞めた感がすごい。もともと人間から外れてるけど、今もう私、魔物じゃない? こわ。


「メタル化もできる。液状化して、手を剣に……おお、すご。魔法はどうだろう。『アイシーバースト』! おお、すごー」


まさにメタスラちゃんそのまんまの威力。これぞワンマンアーミー。なってみてわかったけど、メタスラちゃんはちょっとオーバースペックすぎるな。スライムじゃなかったら世界の覇権とってる。ゼストに地下に幽閉されていた理由がありありとわかるぜ。私がちゃくちゃくと増やしてるから今もう十体くらい居るけどね!


「あとで魔物生成してドラゴスライムを食べよう。空、飛ぶぞ」


今日の魔物生成は予約された。自分で飛ぶの楽しみだなぁ。


ここまで完全に吸収できるのなら、たとえば馬ちゃん食べて爆走とか、セチたべてヒーラーするのもいいなと思った。思ったが、骨や毛まで食べないといけないのはちょっと無理がある。スライムが限界だなぁ。

……いや、まてよ? スライムを食べたんだったら。


「いけるのでは? ドラゴスライムじゃなくて、馬ちゃんを生成しよう」


スライムの体なら、骨や毛皮ごと。うん、いける。もう本当に人間辞めたけど、いける。私が爆走できる。え、でも、ケンタウロスみたいに足生やすのかな。それもスライムの形状変化でなんとでもなるか。

つくづく、メタスラちゃんにはいろんな面でお世話になってるな。今度なんか、好物でも食べさせてあげよう。……メタスラちゃんの好物ってなんだ? わかんね。味覚ないし。

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